松本佳子[業界コンフィデンシャル]

2009年09月01日

麗子、もう歩けない/そんなわがままの似合う最後の女優

不整脈による内出血で亡くなった大原麗子さんの死は孤独死というのだろうか、孤高死と呼んだほうがふさわしいのだろうか。一見寂しいようだが、彼女らしい最期だった気もする。関係者やファンが千人も足を運んだお別れの会に、元のご主人だった渡瀬恒彦さんや森進一さんの姿があったのは、彼女の生き様、人柄ゆえだったと思われた。

20年近く前だろうか、駆け出しの記者のころ、テレビ局の廊下で大原さんを見かけた。「すこし愛して、なが〜く愛して」のあの女優さんだ。やっぱりきれいだなぁと思って見ていたら突然、あのアンニュイでハスキーな声でADクンにこう言った。「麗子、もう歩けない......」。ADクンは腰を低くして彼女はその背中におぶさった。控室まではわずか20メートルほどの距離だった。

手足がしびれて動かなくなることもあるギラン・バレー症候群だったことを当時知らなかった私は、大女優さまというのはなんとわがままなものかと驚いたものだった。あとで病気のことを知り、本当に歩けなかったのかと理解した。彼女のお別れの会で友人女優たちは、「わがままな人」と愛をこめて明かし、改めて当時のことを思い出した。あれは本当にわがままだったのだ。でも、わがままがメチャメチャ似合う人だった。

亡くなった時期が、押尾学被告と酒井法子被告の薬物事件と重なったせいで、ワイドショーでの大原さんの報道は少なかった。晩年、たびたび自宅まで取材依頼に出かけていた記者によると、「いまは1億円積まれても表には出ません。そのかわり女優復帰した際にはなんでもお話しさせていただきます」と言っていたとのこと。大女優のプライドをずっと持ち続けていた大原さんは、報道のほとんどがつまらない事件を起こした俳優と女優にもっていかれることを草葉の陰でどう思っているのだろう。ご冥福をお祈りします。

大原麗子

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