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死ぬまで成長しつづけた80歳の少年漫画家
漫画家の関谷ひさしさんが今年の2月に亡くなられました。
この名前を聞いて、「おお」と思うのは、五十代がメインかも知れませんね。
昭和30年代を中心に活躍した漫画家です。
当時、一世を風靡(ふうび)した月刊少年漫画雑誌に『少年』があります。
僕が子供の頃には、手塚治虫(てづかおさむ)の『鉄腕アトム』、横山光輝(よこやまみつてる)の『鉄人28号』、白土三平(しらとさんぺい)の『サスケ』、藤子不二雄(ふじこふじお)の『忍者ハットリくん』などの強力な漫画連載陣で、他の月刊漫画誌と格が違う、一番面白いというイメージでした。
それは僕だけではなかったのでしょう。まだ貸本屋があった時代でした。発売日に早めに借りに行かないとすぐに借り出され、なかなか戻ってこなかったという思い出があります。
その『少年』誌上で『アトム』『鉄人』と肩を並べて人気があったのが関谷氏の『ストップ!にいちゃん』でした。
当時、小学校低学年だった僕も夢中で読んでました。
主人公の南郷勇一(なんごうゆういち)は、明朗快活スポーツ万能、曲がったことは大きらい、でも決して真面目なだけじゃないという当時の少年の理想像です。
今ではすっかり見なくなりましたが、さわやかでユーモアもある少年漫画の王道だったのです。
ただ、それは月刊漫画誌の時代の王道だったのかもしれません。
『少年マガジン』や『少年サンデー』という少年漫画週刊誌に人気が移り、僕も成長し、毎週毎週刺激的な展開を求めていくようになると、あれだけ楽しみにしていた関谷氏の世界も次第に時代遅れに感じてきたのです。
手塚治虫・横山光輝という同じ『少年』で活躍していた作家がうまく週刊誌に移行できたのとは、対照的でした。
いつの間にか名前をきかなくなり、いわゆる「消えた漫画家」の一人として認識していました。
ですが、関谷氏は死ぬ直前まで漫画を描き続けていたのです。
11月に双葉社から彼の遺作『侍っ子』が刊行されました。
70歳代にコツコツと描きためていた原稿らしいのですが、ページを開けて驚きました。
線が全然死んでない。絵がとても生き生きしている。
とても70歳の老人が描いたとは思えない絵だったのです。最盛期と比べても、丁寧でそれでいて生命力を感じる漫画でした。
商業誌の第一線から退かれていたのが、かえってよかったのかもしれません。自分の描きたいものを描きたいように描く。その結果として、成長が続く。そういう幸福な現象が起きたのでしょうか。
今は滅んでしまった"少年漫画"という種が、隔絶された島で独自の進化を遂げている。それを発見したような気分だったのです。
60歳で小説家デビューした隆慶一郎氏の文体が、とてもその年齢の方が書いたとは思えないくらい瑞々しかったこと。その時と同じような感動を覚えました。
単行本の巻末でいしかわじゅんさんが「ぼくはこのくらいになってもこのグレードのものが描けるだろうか」と自問されています。
全く同感です。
でも、自分もこうありたい。死ぬまで成長し続けていたい。僕は来年50歳になります。ちょっと弱気になるところもあったのですが、こういう作品を見ると、「まだまだこれからだ、もう少し頑張らねば」と素直に思えます。
死ぬ直前まで人は進化することができる。その事実にとても勇気づけられました。
自分の勤めている会社から出た本ですから、あまり褒めるのもなんですが、でも、今、この本が出版されたのは実に嬉しいことです。
ちなみに関谷氏の代表作『ストップ!にいちゃん』もマンガショップから刊行されています。連載の全エピソードが単行本化されるのは初めてだとか。
改めて読み直したくなってきました。
この名前を聞いて、「おお」と思うのは、五十代がメインかも知れませんね。
昭和30年代を中心に活躍した漫画家です。
当時、一世を風靡(ふうび)した月刊少年漫画雑誌に『少年』があります。
僕が子供の頃には、手塚治虫(てづかおさむ)の『鉄腕アトム』、横山光輝(よこやまみつてる)の『鉄人28号』、白土三平(しらとさんぺい)の『サスケ』、藤子不二雄(ふじこふじお)の『忍者ハットリくん』などの強力な漫画連載陣で、他の月刊漫画誌と格が違う、一番面白いというイメージでした。
それは僕だけではなかったのでしょう。まだ貸本屋があった時代でした。発売日に早めに借りに行かないとすぐに借り出され、なかなか戻ってこなかったという思い出があります。
その『少年』誌上で『アトム』『鉄人』と肩を並べて人気があったのが関谷氏の『ストップ!にいちゃん』でした。
当時、小学校低学年だった僕も夢中で読んでました。
主人公の南郷勇一(なんごうゆういち)は、明朗快活スポーツ万能、曲がったことは大きらい、でも決して真面目なだけじゃないという当時の少年の理想像です。
今ではすっかり見なくなりましたが、さわやかでユーモアもある少年漫画の王道だったのです。
ただ、それは月刊漫画誌の時代の王道だったのかもしれません。
『少年マガジン』や『少年サンデー』という少年漫画週刊誌に人気が移り、僕も成長し、毎週毎週刺激的な展開を求めていくようになると、あれだけ楽しみにしていた関谷氏の世界も次第に時代遅れに感じてきたのです。
手塚治虫・横山光輝という同じ『少年』で活躍していた作家がうまく週刊誌に移行できたのとは、対照的でした。
いつの間にか名前をきかなくなり、いわゆる「消えた漫画家」の一人として認識していました。
ですが、関谷氏は死ぬ直前まで漫画を描き続けていたのです。
11月に双葉社から彼の遺作『侍っ子』が刊行されました。
70歳代にコツコツと描きためていた原稿らしいのですが、ページを開けて驚きました。
線が全然死んでない。絵がとても生き生きしている。
とても70歳の老人が描いたとは思えない絵だったのです。最盛期と比べても、丁寧でそれでいて生命力を感じる漫画でした。
商業誌の第一線から退かれていたのが、かえってよかったのかもしれません。自分の描きたいものを描きたいように描く。その結果として、成長が続く。そういう幸福な現象が起きたのでしょうか。
今は滅んでしまった"少年漫画"という種が、隔絶された島で独自の進化を遂げている。それを発見したような気分だったのです。
60歳で小説家デビューした隆慶一郎氏の文体が、とてもその年齢の方が書いたとは思えないくらい瑞々しかったこと。その時と同じような感動を覚えました。
単行本の巻末でいしかわじゅんさんが「ぼくはこのくらいになってもこのグレードのものが描けるだろうか」と自問されています。
全く同感です。
でも、自分もこうありたい。死ぬまで成長し続けていたい。僕は来年50歳になります。ちょっと弱気になるところもあったのですが、こういう作品を見ると、「まだまだこれからだ、もう少し頑張らねば」と素直に思えます。
死ぬ直前まで人は進化することができる。その事実にとても勇気づけられました。
自分の勤めている会社から出た本ですから、あまり褒めるのもなんですが、でも、今、この本が出版されたのは実に嬉しいことです。
ちなみに関谷氏の代表作『ストップ!にいちゃん』もマンガショップから刊行されています。連載の全エピソードが単行本化されるのは初めてだとか。
改めて読み直したくなってきました。

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