特ダネ記者魂

2008年10月14日

借金好き浪費家に「正常化」を強制/米国発の金融危機は市場の自律的崩壊だ

[山田厚史の特ダネ記者魂]

経済混乱は時代の変わり目に起こる、と言われる。混乱の中から新しい時代が生まれるということかもしれない。米国発の金融危機はそれほどの破壊力がある。破壊されたのは米国にカネを集める装置であるウォール街だ。世界のカネを操ってきた金融資本と呼び換えてもいい。

冷戦崩壊を境に、金融資本は理系人材を集め複雑怪奇な証券化商品を編み出した。ものづくりで負けても金融で稼ぐ。製造業で黒字を稼ぐ日本は、そのカネを米国に吸い上げられた。

住宅バブルの崩壊で米住宅金融公社が危なくなった時、米国財務省は日本の銀行や生保に「公社の社債を売らないで」と伝えた。形は要請だが「売るな」と命じたに等しい。それが日米の力関係である。

日本から20兆円余が同公社に注ぎ込まれている。農林中金は5兆円余を投資していた。農家の貯蓄が回りまわって米国人の住宅になっていた。20兆円が日本で住宅になっていれば、暮らしはもっと豊かになっていたはずである。

日本は今でも世界最大の債権国である。債権から債務を差し引いた対外純資産は250兆円を超える。米国は世界最大の債務国で毎年借金が増えている。

「返せるメドもない借金をしまくる繁栄はいつか行き詰まる」

と言われてきたが、世界経済は米国の過剰消費に頼って好景気が続いていた。トヨタもキヤノンもパナソニックも米国人の消費で大きくなった。

それが暗転した。米国の消費が急速に冷えている。ドルの崩落で為替は円高に振れる。日本の輸出企業にとって大変な事態だが、冷静に考えれば、「正常化」が始まったと見るべきだろう。米国の過剰な消費がはげ落ちるのだ。借金まみれの浪費家が、市場の自律的崩壊で強制的に借金を断たれたのである。

日本企業は、米国に頼ってきた生産を国内向けに変えるしかない。幸いカネも米国に流れない。大混乱をくぐり抜け、日本のカネを日本の暮らしに使う。その仕組みに知恵を絞る時代になった。

山田厚史 , 混乱

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