特ダネ記者魂

2009年04月21日

「ミサイル基地攻撃」はバカ派の空論/トンネルに潜むノドンの位置は不明だ

[田岡俊次の特ダネ記者魂]

テポドン2の発射後、自民党、民主党のタカ派議員がまた「敵基地攻撃」を唱えはじめた。ミサイル防衛は「これさえあれば大丈夫」と言うには程遠いし、今後も兆単位の費用がかかりそうだから、「相手が撃つより先に叩け」との説に傾く国民も少なくあるまい。だが、どうやって目標を見つけるか、が問題だ。攻撃論者は舞水端里で何週間もかけてテポドンが発射準備をしたのを見て、そんな発想をするのだろうが、そこはテスト場にすぎず、実戦用のノドンやムスダンはトレーラー式発射台に載せて、北部山岳地帯のトンネルに隠され、指令が出れば出てきてミサイルを立て発射する。

部隊の所在地はほぼわかっても、個々のミサイルがどこのトンネルに入っているかわからないと攻撃はできない。ニセのトンネルの入り口もあるだろう。出てきたところを偵察衛星で発見して叩けば、と思う人もいるだろうが、偵察衛星は地球を南北方向に約90分で回るから、北朝鮮付近の上空を通るのは日に約1回、時速2万8000キロ余だからカメラの首を振っても撮影時間は2分程度だろう。衛星が上空を通る時間に合わせて、ミサイルが出てきてくれない限り発見できない。仮にミサイルを立てているのを撮影できても、訓練なのか本当の発射か、どこへ向けて発射するのか、がわからない。また、攻撃するのなら、200基はありそうなノドン、ムスダンを同時にすべて壊さないと、一部は核つきのようだから手痛い反撃を喰らう。

米軍は湾岸戦争でイラクが弾道ミサイルを多数発射したため、毎日平均60機を発射地域上空に出し、「スカッド・ハント」をおこなったが、破壊できたのは偶然見つけた1基だけだった。スカッドは発射までに1時間かかったが、燃料を常に入れておけるムスダンは10分に短縮したから、破壊は不可能に近い。自衛隊が攻撃兵器を持っても、ミサイル基地攻撃は戦術的に無理で、目標標定が射撃に不可欠なことは砲兵少尉でも知っている。それも考えず攻撃を語るのはタカ派よりもバカ派と言うべきだ。

テポドン , ノドン , ミサイル , ムスダン , 田岡俊次

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