特ダネ記者魂

2009年07月07日

イラン人が反英米に傾く歴史的理由

[田岡俊次の特ダネ記者魂]


6月12日のイラン大統領選挙で現職のアフマディネジャド氏が対立候補のムサビ氏に63%対34%、1100万票もの大差で圧勝したため、ムサビ氏支持者は「不正選挙」を訴えるデモを行い、大統領支持派や警官隊と衝突している。米、英など西側メディアの多くは「不正がなければ穏健派のムサビ氏が当選したはず」との前提で論じるが、そうなった証拠はない。不正が一部にあったとしても、ブッシュ前米大統領の初当選が票の数え直しで決まったフロリダ州のような僅差ならともかく、こんな大差がつくだろうか。中堅以下の官吏にはムサビ支持者も多い。全土で組織的な不正はやりにくいのでは、とも思える。

米国やイスラエルを挑発する発言を続け、ウラン濃縮やミサイル開発を進めるアフマディネジャド大統領が公正な選挙で勝つとは解せない、と米、英の人々は感じるだろうが、歴史を知ればそうなる理由もある。長くロシアの圧迫を受けたイランは1905年に日本がロシアに勝ったことに励まされ、日本を見習い憲法と議会制を採用したが、まもなく英、露に分割支配された。第一次大戦後、英、ソの勢力を排除し、王位に就いたレザー・シャーは男女共学を進めるなど開明的だが英、ソに警戒的で、1939年には貿易相手の1位がドイツ、2位が日本となり、第二次大戦では中立を宣言した。英ソは南北から同時に侵攻、英国は国王をインド洋のモーリシャス島に流し、息子のムハメッド・レザー・パーレビを国王に据えた。戦後も民族派のムサデク首相が英国の石油利権を回収すると、米CIAはイラン軍人にクーデターを起こさせて米英の石油企業の権益を確保し、国王の極端な親米政策に批判的な人々をCIA指導下の秘密警察が弾圧した。イラン革命で亡命した国王を米国が迎え入れたため、革命派学生らは米大使館に突入し館員を拘束、これに怒った米国はイランに侵攻したイラクを支援した。

この間、日本は米国の圧力に屈せず、イランと外交関係を保ち続けた。今回も注意深く友好国の形勢を見守るのが得策と考える。

イラン , 外交 , 田岡俊次 , 米国 , 英国

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