特ダネ記者魂

2009年10月27日

米国が提案した嘉手納への統合/利権がらみで拒否

[田岡俊次の特ダネ記者魂]

政府は米海兵隊の普天間飛行場移設問題で窮地に立っている。辺野古崎に代替基地を建設する計画は地元の名護市の島袋市長、沖縄県の仲井眞知事が容認しているが、来年1月に名護市長選挙がある。去る8月の衆院選挙では民主2人、社民1人、国民新党(民主推薦)1人、比例で共産1人が当選したが全員が建設に反対で、その潮流が市長選挙に響く可能性がある。もし反対派が地元市長になれば、10月20日に来日したR・ゲーツ米国防長官の要求通り辺野古崎への移設計画推進に踏み切っても、計画の実施段階で遅延が生じるおそれが大きい。市長選挙の結果を見るまで政府が態度を決めかねるのは当然だ。

代案として再浮上しているのが米空軍嘉手納基地への統合案だ。早く実現できるし、3500億円以上かかる新基地建設に比べ経費も大幅に節約できる。1996年に普天間基地閉鎖で日米が合意した際、日本側がまず考えたのはこの案だ。このときは米空軍の反対で消えたが、辺野古の新基地建設が進まないのに苛立った米国は2005年2月、嘉手納への統合案を提示してきた。嘉手納に海兵隊のヘリ部隊を移すが将来、有事の際に多数が飛来する場合には普天間を再び使わせてほしい、との趣旨だった。米空軍は前回同様、航空管制の困難などを主張して抵抗したが、当時のラムズフェルド国防長官は世界各地で強引な基地整理、再編を進めており、嘉手納の空軍機の常駐態勢も見直される状況だったから、日本側がこの案に飛びついて尽力していれば、普天間の危険、騒音などの問題は半ば解決していたのでは、と思われる。

だが、日本側は、嘉手納周辺の自治体の反発が予測され、普天間周辺でも基地が完全閉鎖にならないことに不満が残るとして、米側の提案に乗らなかった。当時沖縄の建設業界は新基地建設に膨大な資金が投入されると期待し、どの工法が地元企業に得かを公然と論じていた。政治・行政も沖縄懐柔のため利権配分を考えていたから、金のかからない嘉手納統合案は不都合だった。絶好球を見逃したツケがいま新政権に回ってきた形だ。

沖縄 , 田岡俊次

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