特ダネ記者魂

2009年12月15日

財界の谷垣さん? 会長になり手がない今さら経団連

[山田厚史の特ダネ記者魂]

「年内に決まることはないから安心して」。来春交代する日本経団連の御手洗冨士夫会長は「次は誰だ?」と嗅ぎ回る記者を煙に巻いている。本命はパナソニックの中村邦夫会長と言われるが、中村さんは「経団連会長なんて考えていない」と言っている。それはそうだろう。この危機に企業の命運を背負う経営者は財界活動なんてやる暇はない。

失敗例とされるのがトヨタの奥田碩前会長だ。7年間財界に君臨し、政治献金を復活、経済財政諮問会議の議員にもなって小泉改革を支援した。トヨタで実権を握りながら、政府の要職につきほとんど東京にいた。我が世の春だったが、本業の自動車市場を読み違えた。「トヨタはおごり高ぶり経営を誤った」と新社長に就任した豊田章男氏は言う。

「財界総理」などとヨイショされ経団連会長のイスは上昇志向満々の企業家にとって最高峰に映っている。だが財界が元気だったのは日本の高度成長までだった。総資本を代表して労働運動と渡り合い、日本を共産主義にさせまいと自民党をカネで支えた。

今の経団連にどんな社会的意義があるのだろうか。経済界の総意などあるはずはなく、「偉過ぎて、会社に居ると後輩経営者が迷惑する元気な老人のたまり場」などと陰口さえ出ている。政界が変わり、財界は野党に転落したも同然。御手洗さんは潮時と見て身を引くが、次の会長さんは自民党総裁になった谷垣さんのような立場だ。政治家なら野党になっても総裁は意味あるお役目だが、財界活動は企業家の本業とはいえない。

財界にいいことは国益に沿う、と考える楽天的なお年寄りや、公益を装って自己や自社に利益を導く狡獪な経営者も活躍する舞台だった経団連は時代に取り残されてはいないか。

会長の選ばれ方も古典的である。長老たちが密談して決める。その結果、大企業・製造業・輸出企業が会長ポストをたらい回しにしてきた。不況になると真っ先に人減らしに走る産業でもある。CO2削減にも腰が重い。

自民党でさえ選挙で総裁を選ぶ。経団連会長も立候補を募り、見識やビジョンを競い合ったらどうか。小泉改革の総括や財界活動の在り方など論点はいくらでもある。日本全国を遊説すれば、地方の中小企業の声を聞くいい機会にもなるだろう。

奥田碩 , 山田厚史 , 御手洗冨士夫 , 経団連

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