年末その1
さあ、12月だ。今月は「年末」と題し、3回にわたって、わたしの年末年始準備の進捗(しんちょく)状況とそれにともなう思い出などを書いていく。断っておくが、現段階では、なにひとつ手をつけていない。
まずやらなければならないのは、お歳暮の手配だろう。贈り先は6軒だから、たぶ ん、そんなに多くない。贈る品も大体決まっている。うどんと、ビールとジュースの詰め合わせと、カタログギフトと、商品券だ。
商品券の贈り先は親である。ずっとカタログギフトを贈っていたのだが、おととし、「選んだり葉書を送ったりするのが面倒なんだけど」と苦情を申し入れられた。「じゃあ、なにがいいのよ」と訊ねたところ、「なんだかんだいっても商品券だわね」という、けっこうなまなましいやりとりを経て、商品券になったのだった。 デパートに行きさえすれば、お歳暮の手配はすぐに完了する。そんなことは百も承知だ。それがなぜちゃっちゃとできないのかというと、「ついでの用事」があるからだった。
せっかく町中に出かけるのだから、できるだけたくさんの用事を足したいものである。「時は金なり」だ。まして師走ならなおのこと。デパートでは、お歳暮だけでなく、おせちの手配もしたいところだ。
わたしは主婦だが、おせち作りからはほぼ足を洗っている。せいぜい蒲鉾を切るとか、数の子の塩抜きをするくらいだ。元旦にはお雑煮を作ることにしているが、2008年はそれすらできなかった。しかも去年の師走には、おせちの手配もできなかった。婚家から黒豆や栗きんとんなどを分けてもらって、「お正月」を凌いだのだった。
これもひとえに、わたしのスケジュール管理がなっていなかったせいだ。下手なクロールよろしく、ただただ手足をばたつかせ、そのわりにちっとも前に進まない感じで年末を過ごしてしまったのだ。文筆業というものにちょっとは慣れた今年の年末は、ある程度落ち着いて過ごしたいと思っている。
年賀状の手配は文房具店でする。年賀状は、我が家のぶんと、わたし個人のぶんとの2種類を選ぶ。ちなみに宛名書きはわたしの担当となっている。全部手書きでおこなう。
文房具店では、年賀状を書くためのグッズも購入したいところだ。書きやすいペン、シール、はんこなどをじっくりと選ぶ。このさい、クリスマスカードも用意したいし、お歳暮の送り状用の便箋と封筒も見つくろいたい。
そうだ、送り状だ。たった一軒だが、お歳暮の送り状をわたしは「朝倉 内」として認(したた)めるのだった。主婦としてのわたしにとって、もっとも気の張る仕事である。
このところ、めっきり手紙を書かなくなった。「めっきり」というくらいだから、以前はわりとこまめに書いていた。とはいえ、いわゆる形式にのっとったものではなく、ざっくばらんな書きようの、ごくフレンドリーな内容のものだ。それさえEメールで済ませるようになったのだが、それはともかく。
ちゃんとした手紙を書くのは難しい。
いや、48歳がいう科白ではないことは分かっている。
しかし、お中元とお歳暮の送り状を書くたびに、『こんなときどうする? おつき合いのコツがわかる最新マナーBOOK』(講談社)を引っ張り出して、「手紙のマナー」を熟読する48歳もいるのである。
「軒先の朝顔だけが涼しげに見えます」とか「年の瀬も押しせまり、あわただしい毎日でございます」などの文例を大いに参考にしているのである。
とはいえ、この48歳の肩書は作家だ。さすがに文例の丸写しはしたくない。毎年同じ文面では先方に失礼だし、いっても作家なのだから、工夫のひとつもしたいではないか。
送り状には、時候の挨拶のあと、「お変わりなくお過ごしのことと存じます」などの安否の挨拶をつづけ、用向きを書き記す。
「本日は、暮れのご挨拶にかえて(orお中元の品として)○○デパートより、○○をお送りいたしました。ご笑納くださいませ」ってやつだ。
その後、「くれぐれもご自愛くださいますよう」お祈り申し上げて、「かしこ」となる。
時候の挨拶と、「ご笑納くださいませ」という部分に工夫をつける余地があるとわたしは思った。工夫をつけるならそこしかないだろう。
結婚して初めて贈ったのはシャンパンだった。時候の挨拶は忘れてしまったが、「ご笑納くださいませ」部分は覚えている。
「開栓の折には、ぽーんと勢いよくコルクを飛ばし、天井の照明器具に命中させ、割ってみるのも御一興かとぞんじます」。
郵送する前にオットに見せたら、難色をしめされた。なにしろ先方はかれの上司なのだ。オットがいうには、「割る」という箇所は縁起がわるいのではないか、とのこと。そこで該当箇所を削除した。こんな感じで毎年送り状を書いている。おそらく間違っているが、もう軌道修正はできない。
というわけで、お歳暮の手配をするとなると、結局半日仕事になってしまうのだった。それが分かっているから、デパートに出かけるのが一日延ばしとなるのが昨年までのわたしだった。目先の用事に気を取られ、わずか半日の時間を捻出するのにもぜぇぜぇいっていた昨年までの自分にアデュー。宣言しておく。今年は10日のシメキリをやっつけた明くる日の11日に決行するつもりだ。
まずやらなければならないのは、お歳暮の手配だろう。贈り先は6軒だから、たぶ ん、そんなに多くない。贈る品も大体決まっている。うどんと、ビールとジュースの詰め合わせと、カタログギフトと、商品券だ。
商品券の贈り先は親である。ずっとカタログギフトを贈っていたのだが、おととし、「選んだり葉書を送ったりするのが面倒なんだけど」と苦情を申し入れられた。「じゃあ、なにがいいのよ」と訊ねたところ、「なんだかんだいっても商品券だわね」という、けっこうなまなましいやりとりを経て、商品券になったのだった。 デパートに行きさえすれば、お歳暮の手配はすぐに完了する。そんなことは百も承知だ。それがなぜちゃっちゃとできないのかというと、「ついでの用事」があるからだった。
せっかく町中に出かけるのだから、できるだけたくさんの用事を足したいものである。「時は金なり」だ。まして師走ならなおのこと。デパートでは、お歳暮だけでなく、おせちの手配もしたいところだ。
わたしは主婦だが、おせち作りからはほぼ足を洗っている。せいぜい蒲鉾を切るとか、数の子の塩抜きをするくらいだ。元旦にはお雑煮を作ることにしているが、2008年はそれすらできなかった。しかも去年の師走には、おせちの手配もできなかった。婚家から黒豆や栗きんとんなどを分けてもらって、「お正月」を凌いだのだった。
これもひとえに、わたしのスケジュール管理がなっていなかったせいだ。下手なクロールよろしく、ただただ手足をばたつかせ、そのわりにちっとも前に進まない感じで年末を過ごしてしまったのだ。文筆業というものにちょっとは慣れた今年の年末は、ある程度落ち着いて過ごしたいと思っている。
年賀状の手配は文房具店でする。年賀状は、我が家のぶんと、わたし個人のぶんとの2種類を選ぶ。ちなみに宛名書きはわたしの担当となっている。全部手書きでおこなう。
文房具店では、年賀状を書くためのグッズも購入したいところだ。書きやすいペン、シール、はんこなどをじっくりと選ぶ。このさい、クリスマスカードも用意したいし、お歳暮の送り状用の便箋と封筒も見つくろいたい。
そうだ、送り状だ。たった一軒だが、お歳暮の送り状をわたしは「朝倉 内」として認(したた)めるのだった。主婦としてのわたしにとって、もっとも気の張る仕事である。
このところ、めっきり手紙を書かなくなった。「めっきり」というくらいだから、以前はわりとこまめに書いていた。とはいえ、いわゆる形式にのっとったものではなく、ざっくばらんな書きようの、ごくフレンドリーな内容のものだ。それさえEメールで済ませるようになったのだが、それはともかく。
ちゃんとした手紙を書くのは難しい。
いや、48歳がいう科白ではないことは分かっている。
しかし、お中元とお歳暮の送り状を書くたびに、『こんなときどうする? おつき合いのコツがわかる最新マナーBOOK』(講談社)を引っ張り出して、「手紙のマナー」を熟読する48歳もいるのである。
「軒先の朝顔だけが涼しげに見えます」とか「年の瀬も押しせまり、あわただしい毎日でございます」などの文例を大いに参考にしているのである。
とはいえ、この48歳の肩書は作家だ。さすがに文例の丸写しはしたくない。毎年同じ文面では先方に失礼だし、いっても作家なのだから、工夫のひとつもしたいではないか。
送り状には、時候の挨拶のあと、「お変わりなくお過ごしのことと存じます」などの安否の挨拶をつづけ、用向きを書き記す。
「本日は、暮れのご挨拶にかえて(orお中元の品として)○○デパートより、○○をお送りいたしました。ご笑納くださいませ」ってやつだ。
その後、「くれぐれもご自愛くださいますよう」お祈り申し上げて、「かしこ」となる。
時候の挨拶と、「ご笑納くださいませ」という部分に工夫をつける余地があるとわたしは思った。工夫をつけるならそこしかないだろう。
結婚して初めて贈ったのはシャンパンだった。時候の挨拶は忘れてしまったが、「ご笑納くださいませ」部分は覚えている。
「開栓の折には、ぽーんと勢いよくコルクを飛ばし、天井の照明器具に命中させ、割ってみるのも御一興かとぞんじます」。
郵送する前にオットに見せたら、難色をしめされた。なにしろ先方はかれの上司なのだ。オットがいうには、「割る」という箇所は縁起がわるいのではないか、とのこと。そこで該当箇所を削除した。こんな感じで毎年送り状を書いている。おそらく間違っているが、もう軌道修正はできない。
というわけで、お歳暮の手配をするとなると、結局半日仕事になってしまうのだった。それが分かっているから、デパートに出かけるのが一日延ばしとなるのが昨年までのわたしだった。目先の用事に気を取られ、わずか半日の時間を捻出するのにもぜぇぜぇいっていた昨年までの自分にアデュー。宣言しておく。今年は10日のシメキリをやっつけた明くる日の11日に決行するつもりだ。

2012/02/10 05:46:22
公演中止から10ヶ月、『戯伝写楽』の特別な五日間
2012/02/09 23:46:43
ネットカフェ、2300円。
2012/02/07 06:54:01
恋愛禁止もガマン/だってAKB48だから
2012/02/07 05:39:35
「福島の子どもたちからの手紙~ほうしゃのうっていつなくなるの?」発売します。
2012/01/29 10:05:02
期間限定!元・朝日新聞東京本社編集局長・外岡秀俊氏による文章教室、開校。
2012/01/23 10:20:44
AERA English 2012年3月号の内容は!
2012/01/22 14:19:12
16、「年賀状」考
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