朝倉かすみ[ぜんぜんたいへんじゃないです。]

2008年12月20日

年末その2

お歳暮と、おせちと、年賀状の手配は済ませた。送り状も書いた。

一見、わたしの年末準備は着々とすすんでいるようだ。

繰り返す。

一見、わたしの年末準備は着々とすすんでいるようだ。

2度も同じ文章を書いたときの、わたしの表情をお見せできないのが残念である。半笑いだ。しかも着ているものはまだパジャマだ。歯磨きはしたが、洗面はおこなっていない。

暗雲が立ち込めているのだった。いまのところ、この原稿をふくめて、24日までに書きますと約束したものが4本ある。

24日はイブだから、ヤング女子のみなさんのなかには、「クリパ」につどい、「クリプリ」の交換をして、夜遅くまで「恋バナ」などをするかたがいらっしゃるかもしれない。わたしもできれば鼻眼鏡などを装着し、クラッカーを鳴らしながら「メリクリ☆」とかいってみたい。いわないけど。

恋人とデイトするのも素敵かもねと思う。夜景やイルミネーションがイブの夜を盛り上げるというのは、周知の事実。レストランでディナーをいただきながらながめたり、観覧車からながめたりする夜景は、ことのほか綺麗なはずだ。そうして、デイト終盤には「ずっと一緒にいようね」みたいな文言が、かれの口から発せられるのであろう。

イルミネーション関連でいえば、札幌の大通公園では、ホワイトイルミネーションと銘打った光のイベントが開催されていて、クリスマスデイトにはもってこいだ。しかし、時節柄、寒い。これは覚悟しておかないと、と余計な心配をしておきたい。手をつなぐ、あるいは、恋人のコートのポケットに手を入れる、というのも一興だが、そうやって得られる温かさは、じつは、はかばかしいものではない。

なのに、とても温かに感じるから不思議だ。クリスマスが冬でよかった、と心から思う、そんな時代がわたしにもあった。そのときの恋人がオットだ。だからといって、オットは恋人の成れの果てではない。かれの手を温かいと思うのは、クリスマスにかぎらないからだ。

我が家のクリスマスは、パエリアを作ってたべて、シャンパンをがぶのみするといった、ごくシンプルなものである。朝から晩までクリスマスソングをかけ、ひとつしかないサンタ帽を取り合ったり、トランプやオセロでひと勝負するのは、はっきりいって愉しい。

その愉しさを味わえないかもしれないという危機感を、わたしは、いま、そこはかとなく持っている。

年末準備はお歳暮とおせちと年賀状の手配だけではないのだ。そんなものは序の口なのだ。

たとえば、手配した年賀状は受け取りに出向いたのち、宛名を書いて投函しなければならないし、大掃除という案件もある。案件といえば、鏡餅、しめ飾りの購入及び設置、予約していた手帳のリフィルを取りに行くこと、お年玉用の紙幣を新券に替える等々たくさんある。それに加えて、わたしは、使い捨てコンタクトレンズの在庫がもう二組しかないからなんとかしたいし、免許更新にも行きたいのだった。

なぜ、いま、免許更新? とわたしの知り合いは思うかもしれない。わたしの誕生日は8月だ。ほんとうは9月10日までに更新に行かなければならなかったのだ。つまりわたしは現在、免許失効中の身の上なのだ。うっかりしていた。

ご存じだろうか。失効後6ヵ月以内であれば、所定の講習を受講するだけで運転免許が再取得できることを。その期間を過ぎても1年以内なら仮免許試験は免除してもらえるらしいが、わたしとしては、そこまで引っ張りたくない。ちなみに失効後1年を経過したら、取り直しになる。絶対に避けたい事態だ。

たしかに、来年3月までなら所定の講習を受けるだけで済む。ところがわたしには、今年の不始末は今年のうちに片付けたい気持ちがあるのだった。でなければ年が越せない、という「独特」の感覚は、けっこう根深い。

分かっている。なにもしなくても年は越せるのだ。

現にわたしは、さまざまな案件のうち、「大掃除」は捨てる腹を決めている。

思えば、高校生のときも同じようなことをいっていた。定期考査前に「倫社、捨てようかと思って」(教科はあくまでも喩え)とうそぶいていたものである。

「年を越せない感」はテストを受けるときの感覚に近いような気がする。勉強(準備)してもしなくても、テストの日(元旦)はやってくるし、できてもできなくても、数日で終了する。

ただ、テストの場合は、できがわるいと、先生に呼び出されたり、追試になったりする。あれはたいへん厭なものだった。お正月にはそれがない。しかし、わたしのなかには、それに近い感覚があるのだった。

うまくいえないが、神さまに呼び出されるとか、ばちがあたるとか、そういう感じ。要は心持ちの問題なのだ。テストではないから、できのよしあしは点数化されない。

だったら大掃除しろよ、とっとと免許更新に行けよ、年賀状の宛名書きをマダム香川(友人)に頼んだりしないで自分で書けよ、と、そういわれたら、一言もない。

いや、一言くらいはある。ひとは、そんなに、りっぱには生きられないのではないでしょうか、という弱々しいものではあるが。

kasumi asakura , 年末 , 朝倉かすみ

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