2008年10月05日

「H&M」のデザイン力

日本上陸「安くておしゃれ」の秘密

ライター 安瀬リカ


◆3日間で2万4千人

「安いのにおしゃれ」と人気を集めるスウェーデン生まれのファッションブランド、H&Mが9月13日、東京・銀座に初上陸した。初日には約8300人、15日までの3日間で約2万4000人が訪れ、大盛況だ。

H&Mは1947年に産声をあげた。それから60年余り。H&Mはヨーロッパを中心に現在、世界32カ国に約1600店舗を展開する。

海外進出の際には、その国の都心の一等地を確保することが第一条件。

アジアの中でも日本進出が遅れたのは、

「適切な一等地が確保できるまでに時間がかかった」(エリクセンCEO)

からという。

◆自社デザイナー100人

H&Mは商品の企画から販売までを一貫して手掛けるため素早い商品化が可能で、企画段階から店頭に並ぶまで、最短だと3週間。新商品は毎日投入するから、2週間でほぼ全商品が入れ替わる。だからこそ、「このチャンスを逃したら......」と、手が出てしまうのだ。

そんな一目惚れ買いを促すデザイン力を支えるのが、100人の自社デザイナーだ。

デザイン統括責任者のアン・ソフィ・ヨハンソンさんは言う。

「プレタポルテの新作が発表されるパリ・コレクションやミラノ・コレクションが、次の流行を作り出す時代は終わりました。今の流行発信地は世界のストリートなんです」

◆著名デザイナーとコラボレーション

一方で、著名デザイナーとコラボレーションした限定商品を毎年、発表している。

04年、第1弾として起用したのは、あのシャネルのデザイナー、カール・ラガーフェルド氏だった。

「H&Mはモダンで旬な洋服を作っている。金持ちでなくてもおしゃれになれる。デザインが良ければ、価格は関係ない。H&Mに、価格が安いことは魅力的なことだと教わった」

ファッション界の帝王が、コラボレーションのドアを開けてくれた瞬間だった。

庶民には手が届かないラガーフェルド氏デザインのスーツやドレスが安く買えるとあって、ほとんどの店舗でわずか数時間で完売。H&Mの名は一躍世界に知れわたることとなる。

◆原宿と渋谷にも出店

銀座店に続き、11月に原宿にティーン向けの店、来秋には渋谷に子供服も扱う大型店を出すことが決まっている。

開店から1週間がたった銀座店。なお2時間待ちの行列が絶えない。

「ブームが一過性にならないよう、ゲストデザイナーとのコラボレーションや店内のインテリアを定期的に変え、常に顧客をサプライズさせていくつもりです」(エリクセンCEO)

世界的なインフレが日々の暮らしを直撃し、洋服が売れなくなっている今のご時世。果たしてH&Mの「現実的な、夢の服」は、消費回復の突破口になるか、どうか。

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