2008年10月26日

「福井の匠」が世界を席巻

ペイリン株は大暴落でもメガネは大ブレーク

編集局 南島信也


◆ペイリンのめがねは福井発

米共和党初の女性副大統領候補としてペイリン・アラスカ州知事(44)が鮮烈なデビューを果たしてまもなくの9月5日、米国最大の部数を誇るUSAトゥデー紙はこう報じた。「国民は彼女の目ではなく、メガネを見ている」

「MP704」と呼ばれる彼女のメガネは、世界的な工業デザイナー、川崎和男大阪大大学院教授(59)がデザインし、福井市に本社のある増永眼鏡が製造した純国産品だ。いまペイリン効果で、アメリカからは1万5000本を超える注文が殺到している。

◆米政界セレブが愛用

川崎氏がデザインしたMPシリーズを愛用する著名人は数多い。パウエル前国務長官、ラムズフェルド前国防長官、ポールソン財務長官、カリフォルニア州のシュワルツェネッガー知事のほか、普段はコンタクト・レンズのヒラリー・クリントン上院議員もそうだ。ペ・ヨンジュンさんがかつて日本車のCMでかけていたのも川崎ブランド。MPシリーズは累計で100万本以上売れているという。

同社の増永悟社長(61)は、「社員は世界中から評価されたという喜びであふれ、作業のスピードが2倍になった」と自然と笑みがこぼれる。川崎氏も、こう語る。

「『メイド・イン・ジャパン』の技術がどれほど素晴らしいか、できるだけ多くの人に実感してほしい」

二人に共通するのは、地場産業に対する熱い思いだ。

日本はイタリア、中国に続き、メガネの世界三大産地といわれている。なかでも福井県産のメガネ・フレームは国内産シェア96%を誇るが、いま苦境に立たされている。

◆激安中国産で大打撃

福井県のメガネ類出荷額は2000年の1226億円をピークに下降の一途をたどる。大手メーカーが中国に工場を造って現地生産を始めたことや、福井で受け入れていた中国人研修生が帰国して中国の大幅な技術力アップに貢献したことが響いた。中国製品の攻勢を受け、06年の出荷額は699億円までに。零細の下請けの廃業も相次ぎ、1998年に1000近かったメガネ関連の事業所は05年には700を切った。

「Zoff」「JIN's」といった激安ショップの登場も大きい。フレームは中国製、レンズは韓国製という、1本数千円の激安メガネが席巻した。

悟氏は89年、4代目社長に就任。「日本には世界に通用するメガネ・デザイナーがいない」との思いから、川崎氏とのコラボレーションに打って出た----。

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