2009年01月25日

世界ブランドは徹底した客目線から

女性と企業:パナソニックで働く女たち

ライター 角田奈穂子、編集部 木村恵子


◆屈強そうな米国人警察にもひるまない

米・ニューヨーク市警庁舎。目の前にいるのは、いかにも屈強そうな巨体の米国人警察官。

「パトカーに搭載された大きな無線機器ではポータビリティ性に欠けます。こちらのパソコンにはワイヤレス通信機能があるから、どんな事件現場からでも通信可能です」

ITプロダクツ事業部で海外営業を担当する阿部香織さん(38)は、ひるむことなく、英語でパソコン「タフブック」についてプレゼンした。防水や防塵実験を何度も重ね、屋外作業に耐えられる頑丈さが売りだ。

「商品には絶対的な自信があったから、あとは営業。足繁く通って顔を覚えてもらおうと必死でした」

台湾製などの安価なパソコンとは違う、故障の少なさときめ細かなメンテナンスをアピールした。

「一番の営業方法は口コミ」

商品力やアフターフォローの信頼性が顧客の間で話題になり、次の顧客に繋がった。結果、今では米国のパトカーに装備されるパソコンの実に7割がパナソニック製。FBIや北極観測船でも採用されている。

◆短大卒で海外駐在に

海外で活躍する阿部さんは、短大卒で91年入社。英語を専攻していたが帰国子女ではなく、ビジネス英語は「必要に迫られて上達しました」。

パナソニックには総合職、一般職の区別がない。入社当初、国内で海外販売のサポートをしていた阿部さんが実力を買われ、海外出張や海外駐在のチャンスをもらったのは自然なことだった。

女性が活躍する素地は、女性が働く歴史の長さにある。

81年に入社した籔ゆき子さん(50)は今、くらし研究所所長。滋賀県にあるマンションの一室や一戸建てを再現した空間が仕事場だ。住空間そのままの環境で試作品を使ってみて、騒音や振動などの問題点を洗い出す。

「コストはかかりますが作り直しましょう。このまま出荷してお客様に不自由があってはいけません」

厳しい目でチェックしては意見を言う。

◆ベランダに洗濯機5台

籔さんはくらし研究所所長になる06年まで、洗濯機一筋だった。最初は技術担当だったが、根本的なお客様ニーズにこたえたいと、商品企画担当へ。毎月主婦を集めて、ニーズを探り、自社洗濯機の使い心地について意見をもらう。洗剤メーカーや衣料品メーカーとの情報交換も欠かさない。刷り込まれていたのは、松下幸之助の唱えた「お客様第一」の視点だった。

自分の生活実感も大事にした。自宅のベランダには、他社製品も含めて4、5台の洗濯機を置いて使い比べた。現在20歳と17歳の2人の子どもは、最も身近な消費者。他社の洗濯機で洗ったタオルを使って、

「今日はちょっとゴワゴワしているね」

と言われて、自社の技術力を確認したこともあった。

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