2009年02月15日

不況で光る非上場企業

「一本道経営」で経済危機を乗り切る

編集部 太田匡彦


◆5千人を正社員化

東京・銀座の中央通りに面したアパレル大手ワールドの直営店「オペーク ギンザ」で、販売員として働く荻田彩佳さん(29)。2005年4月、ワールドで派遣社員として働き始めた。正社員で、という思いはあったが、あこがれの仕事に就く喜びが勝った。

「今後も続けるのなら正社員になりませんか?」

派遣会社からそんな電話を受けたのは06年の春先だった。迷わず手を挙げた。

この年の4月、ワールドは当時約6000人いた派遣社員やパートの販売員のうち約5000人を正社員に登用した。長期的視野で人材を育成し、将来的に収益改善の原動力にするのが正社員化の狙いだった。

◆非上場だったからこそ

だがそのために、人件費は年22億円も増えた。上場企業なら、株主が許さなかっただろう。前年の11月、経営陣による自社株買収(MBO)を行い、同社は株式上場を廃止していた。

「短期の業績を意識せず、長期的に企業価値を最大化する」

そんな理念を実現するための上場廃止であり、非上場だったからこそできた正社員化だった。その後も販売員は正社員を採用しており、いまでは販売員の93・5%(08年9月末現在)を占めている。

◆独自の経営理念

個人消費が冷え込むなか、同社は08年9月中間連結決算で増収増益を達成した。アパレル業界では数少ない「勝ち組」となっている。

世界的な景気後退により、国内企業が軒並み業績を悪化させている。製造業を中心に大規模なリストラも行われるなか、短期的な業績にとらわれない、同社のような独自の経営理念を掲げた非上場企業が存在感を増している。
 

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