2009年03月15日

難病とたたかうクレヨン詩人

「6歳の相田みつを」の世界

編集部 古川雅子



◆徳島の6歳の人気者

徳島市内の小さなギャラリー喫茶が、まるで人気ミュージシャンのライブ会場のような熱気に包まれていた。2月上旬に開かれた詩の展示会。カウンターテーブルや壁に並んだ40点の「クレヨンの詩」の作者は、この4月に小学生になる6歳の日下遥ちゃんだ。

◆ファンら「詩集出して」

「こんな豊かな感性でものを見られる子が、他におるんかな。遥ちゃんは、もう、天才やな」

と絶賛する阿波市から来た女性(50)は、昨年健診で行った徳島大学病院の院内喫茶店に飾ってあった作品に魅了された。そんなファンたちから「詩集を出して」という声が高まり、その後押しのために闘病仲間のボランティアが企画した展示会だった。

遥ちゃんは「グルタル酸血症」という先天性の難病と闘う。10万~20万人に1人というまれな病気だ。中でも遥ちゃんと同じ「Ⅰ型」の患者は現在、国内にはわずか数人で、遥ちゃんが最年長だという。

病気がわかったのは生後1カ月の時だった。以来、遥ちゃんは大半の時間を小児科の専門医がいる徳島大学病院で過ごしてきた。

◆通気孔の「ポスト」

書き始めたのは、2007年の秋。4歳の時だ。病室を一歩も出られず、転落防止柵がついた小児用ベッドの中でじっとしていなければならなかった。ある日、病室の壁にある通気孔が、母親の由美さんの目に留まった。これを「ポスト」に見立て、遥ちゃんが入院仲間に「頑張れ」と書いた手紙を差し入れた。すると壁の向こうの廊下から、返事がストンと来た。

「外の人とお話ができる」

と遥ちゃんは喜び、同じ方法で看護師さんに似顔絵つきのメッセージも送った。この時せっせと書いた手紙が、詩の創作につながったのだろう。

バックナンバー

アエラ最新号

2012年2月13日号

2012年2月13日号

最新号キーワード

食の信念が揺らぐ 銀行窓販保険の魅力と危険 早慶女子「一般職がいい」 女心の複雑 「脱東電」で電気代26%節約 「驚異の儲け」グリーよ どこへ行く 絢香インタビュー 荻原博子の石巻ルポ 今年の花粉症 AKB48「恋愛で脱退」のルールと戦略 

2012年2月13日号
定価:380円(税込)
表紙:松田翔太/俳優

雑誌を購入

デジタル雑誌を購入

から検索
から検索