2009年03月29日

怒らない指導でV字回復

新リーダー、西武・渡辺監督

編集部 福井洋平、大波 綾、澤田晃宏


◆コーチにも怒らせない

ガングロ、ロン毛で「チャラ尾」と呼ばれる埼玉西武ライオンズ、平尾博嗣内野手(33)。昨年は代打の切り札として活躍し、日本シリーズ最終戦では決勝のタイムリーも放つなど日本一に大きく貢献した。一昨年までは2軍と1軍を行ったりきたり。「チャラ尾」の野球人生を劇的に変えたのが、26年ぶりBクラスとどん底にまで落ちたチームを率いることになった渡辺久信監督(43)だった。

昨春のキャンプイン前のこと。ちょっとしたことで監督を怒らせた。翌日昼、監督室に謝罪にいくと、渡辺監督はまったく怒りの表情を見せなかった。

「昨日はおれも注意して怒った。今日からは一人の選手と監督として勝つために戦っていこう」

以来、キャンプでもシーズン中も一度も蒸し返すことなく大事な場面で使われた。そんな態度に、惚れた。

平尾選手をはじめチーム全体の雰囲気を大きく変えた監督の手法は、昨年出版した自著のタイトルで明らかにされている。

◆『寛容力』

「僕らの時代はボッコボコにされて、それでもアグレッシブに前に出ていった。いまの高校野球は監督が選手に気を使う時代。怒られ慣れてないんですよ」。『寛容力』にも、「ミスを厳しく追及されることで、本来持っている才能や長所を失ってしまう選手のほうが多いことに気がついた」と書いた。

「ぴりっとしない試合のあとコーチが選手を怒ると、監督がみんなの前ではっきり『もう怒らないでください』と指示した」と、平尾選手は言う。とはいえ、現役時代は短気で知られた監督。怒りを抑える法を聞くと、

「それは言いたくない」

ひたすら我慢なのか。

◆服装にも干渉せず

選手にとけ込む努力もすごい。これまで2チームで8人の監督に仕えた平尾選手だが、渡辺監督は一番、選手から話しかけやすいという。若い選手の服装にも干渉しない。

だが、単に怒らないだけでは選手は育たない。渡辺流指導法の源泉は、自ら「超アウトロー」と言う野球人生にあったーー。


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