2009年07月12日

業界内の非常識で顧客の信頼回復(東京海上日動で働く女たち)

職務のボーダーレス化が女性活躍を推進

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編集部 木村恵子 ライター 角田奈穂子 写真 門間新弥


◆休日返上で被災者の顧客に連絡

新潟市でも「震源は近いっ」と感じる大きな揺れだった。その日は祝日で、新潟損害サービス課で働く佐藤恵さん(27)は自宅にいた。すぐテレビのニュースをつけると、柏崎市を中心に震度6を超え、家屋が倒壊し、死傷者が増えていく様子が刻々と伝わってきた。2007年7月に発生した新潟県中越沖地震だ。

翌日会社に行くと、上司から呼ばれた。長岡市に立ち上がる対策室の専属の担当になってほしいという。

発生翌日の午後から長岡市の対策室に入った。40人ほどのメンバーが休日返上で手分けをして、被災地の顧客約5800人に電話や手紙、直接訪問で連絡を取った。家屋の被害の様子を聞き出し、必要に応じて鑑定人を派遣し、契約内容と照らし合わせて、保険でカバーできる範囲を確認した。

「私にとっては担当する何百件のうちの一案件でも、お客様にとっては一生に一度直面する大被害だと言い聞かせて、一件一件親身に対応しました」

◆接客次第で商品の価値が変わる

入社して最初のころは、規定に沿って素早く処理することに懸命になった。知らず知らずのうちに説得口調になり、「ですから」を連発していた。事故に動転している顧客に、

「あなたは誰の味方なの」

と言われたことがある。

先輩と自分を比べた。先輩は顧客の言葉に相づちを打ちながら、ひたすら話を聞いていた。大事なのは、規定通りに急いで処理することではなく、顧客に納得してもらうことだと痛感した。

「保険は目に見えない商品だからこそ、接客の仕方一つで、商品の価値が上がりも下がりもすると肝に銘じています」

◆経験が信頼に繋がる仕事

コマーシャル損害部で働く安西智子さん(39)は、保険の大事さを身に染みて感じた経験がある。高校2年の夏、歩いていて交通事故に遭った。

「生きていたら、思いもかけずに被害者にも加害者にもなる可能性がある。保険は生きる人のマナーだと思い知りました」

就職時、保険に携わる会社を選んだのは自然な流れだった。入社後は、輸出入や物流に関する保険を担当する。ここでも、思いがけない災害に突然遭遇した。

1999年、ベルギーでダチョウの卵大の雹が降り、日本の大手自動車メーカーの輸出車1万8千台が保管されていた駐車場を直撃した。自動車がボコボコになり、売り物にならなくなった。部署のメンバー総動員で、何日も夜通しで情報を収集し、保険で代替車両をどこまで用意できるかなど、メーカーとの協議が続いた。損害額を確定し、140億円の支払いを完了するのに半年かかった。

最近は、「転ばぬ先の杖」により力を入れる。流通過程に起きた事故をデータベース化し、原因を探る。例えば、ブランドロゴを見えないように梱包するだけで、盗難の確率が減少する。データはヒントの宝庫という。

「細かい工夫が取引先の役に立って、信頼に繋がる。そういう実感が仕事の醍醐味です」

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