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電気自動車ブームの予感 産業が変わる
三菱自が選んだ不祥事克服の切り札
ライター 野村昌二
◆1回の充電で160キロ
お披露目は6月5日、世界環境デーだった。ショールームに詰めかけた報道陣を前に益子修社長は「次の100年の車社会の扉を開くパイオニアにしていく」と意気込みを語り、世界初となる量産型の電気自動車(EV)を紹介した。
名前は「i-MiEV(アイ・ミーブ)」。1回の充電で160キロ走れる。高性能のリチウムイオン電池を搭載し、家庭用100Vなら約14時間でフル充電が可能。専用の急速充電器だと、約30分で80%まで補給できる。最高速度は130キロで高速道路も走れる。
価格は政府の補助金を差し引くと320万ほど。今年度は法人向けに1400台を販売する計画で、すでに生産台数を上回る購入希望があるという。
◆「商事出身」社長の決断
電気そのものを動力源とするEVは、走行中、二酸化炭素(CO2)など排ガスをまったく出さない。EVが「究極の環境対応車(エコカー)」と言われる所以だ。
会見で益子社長は「20年までにEVなどの電気エネルギーを動力源とする環境対応車の比率を、全生産台数の20%に伸ばし、当社の基幹事業に」と意欲をみせた。
三菱自には、苦い過去がある。00年発覚の「リコール隠し」、04年の「欠陥隠し」で同社は2度、バッシングをうけた。しかも筆頭株主の独ダイムラー・クライスラー(当時)が追加支援を打ち切るなど、経営を揺さぶる大きな嵐に見舞われた。
そんな最中、三菱商事から三菱自に常務としてやってきたのが、自動車通、益子氏だ。05年に社長に昇格すると、EVを再建のシンボルと位置づけた。当時、同業他社はハイブリッドに経営資源の大半を振り向け、EVに本腰を入れるのは三菱自だけだった。
こうして、06年秋に研究車両第1号が完成し、翌年秋の東京モーターショーに試作車を出展した。当初、10年の市場投入を表明していたが、予定を前倒しし、販売にこぎつけたーー。

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