2009年08月31日

母が作った鳩山由紀夫

半世紀ぶりに首相を出す一族

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編集部 福田伸生、木村恵子


◆北海道の「鳩山集落」

札幌から約50キロ、北海道の中部に位置する空知平野に寒風が吹き始めたころ、上品なスーツを着込んだ初老の婦人が「鳩山集落」を訪れた。

「北海道で、息子の由紀夫が選挙に出ることになりました。どうか、ご支援をお願いします」

公民館に集まった約30人の住民に、その女性、鳩山安子は深々と頭を下げた。

それから24年。集落は変わらぬ田園風景だった。北海道夕張郡栗山町。500ヘクタールの農地に、水田や馬鈴薯、とうもろこし畑が散在する。農場内には「鳩山神社」がある。安子が参拝した7カ月後の1986年6月、鳩山由紀夫(62)はこの神社で、初選挙の必勝を祈願した。

由紀夫率いる民主党は歴史的大勝を収め、ついに鳩山家は一郎以来、半世紀ぶりに首相を送り出す。今年87歳になる安子の願いがかなったのである。

鳩山家は明治以来、4代続けて国会議員が輩出した、日本有数の政治家一族である。初代の和夫は官費留学生として渡米。コロンビア大、エール大で法律を学んだ。代言人(弁護士)を開業する傍ら、政界へ進出。1896年、衆院議長に就任した。2代目・一郎は政党政治家の道を歩み、戦前から通算約40年、国会で議席を保った。戦後、公職を追放され、脳溢血で倒れながらも71歳で首相まで上りつめた。一郎の長男威一郎は大蔵官僚で、事務次官にまでなった。政治家嫌いだったが、田中角栄の要請で、自民党参院議員に転じ、外相も務めた。

4代目が由紀夫と邦夫(60)である。二人とも自民党で議員生活を始め、93年、そろって離党。96年に旧民主党結成で合流したものの、その後袂を分かつ。

◆企業献金はいらない

初出馬当時から、由紀夫は利益誘導型の政治に批判的だった。自民党の田中・竹下派に所属したが、公共事業は無駄が多い、と主張した。北海道経済に公共事業が占める割合は大きい。他の自民議員陣営からは、

「鳩山は地元のために何もしない」

と叩かれた。

苫小牧市議の松井雅宏(49)は由紀夫の元秘書である。秘書当時、企業から献金を取ってこい、と言われた覚えがない。

「ライバル議員の事務所では、公共事業の3〜5%を献金として還流させるよう、秘書が命じられていました。鳩山さんはお金があるから、献金に頼る必要がなかったのです」

鳩山家は政界屈指の富豪である。関東大震災の翌1924年、一郎は音羽の高台に、豪壮な洋館を建てた。鳩山会館として公開された邸と庭園が一族の財力を物語る----。


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