2010年02月07日

13億人の胃袋最前線をゆく

日本人が仕掛ける「食卓革命」

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編集部 常井健一、時津 剛(写真)


アマゾンの日本語サイトで注文した本が中国の農村にも届く。アサヒビールの蒲健太郎(40)がそれを知ったのは、日本を離れて3度目の冬を迎えようとしていた頃だ。

凍てつく黄海に面する山東(シャントン)半島。内陸部の莱陽(ライヤン)市にある農場に住む蒲はベージュの小包を抱え、玉手箱を開けるかのように丁寧にテープをはがし始めた。

「とにかく日本語に飢えていたので貪るように読みました」

ビールで有名な青島(チンタオ)から車で2時間の所に蒲が駐在する「朝日緑源」はある。老舗企業アサヒが初めて挑む大規模農場の立ち上げを任され、2006年に送り込まれた。

◆冷たい牛乳の新習慣

08年秋、蒲らが売り出した商品は牛乳だった。ゼロから作り上げた牧場で育てたホルスタイン牛640頭から搾り取り、出荷を始めた。先進技術で追求した味と安全性へ自信を込めて、「唯品(ウェイピン)」と名づけた。

防腐剤が入った競合品より日持ちしにくく、相場の2倍(約320円)もする牛乳が、青島のスーパーに置いたら、2日だけで1260本売れた。驚いたのは売れ行きだけじゃない。牛乳を常温で飲むのを習慣としていた中国人が、「唯品」を冷やして保存するようになったのだ。

アサヒが起こした「食卓革命」の仕掛けを「広告より試飲に力を入れた」と、蒲は明かす。売り場にブースを設け、「冷やすとおいしい」を体感してもらった。蒲は中国人の懐ならぬ「腸」に入り込んだのだ----。

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