2010年03月07日

暗黒の巨匠を生で聴く

ジャーマンロック最後の大物

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編集部 大鹿靖明


星ひとつない漆黒の夜に彷徨い込んだドイツの深い森や、荒涼たる世界を猛烈に吹きすさぶ砂塵。

クラウス・シュルツェの初期の作風は、たとえればそんな音楽だった。1960年代後半、英米を席巻したサイケの津波は当時の西独にも押し寄せたが、ドイツのプログレッシブ・ロックは、彼の国ならではの独特の音楽に昇華した。

廃人一歩手前という強烈なドラッグ体験を通じて、内面の闇に対峙する精神性を得た。当時産声をあげたばかりのシンセサイザーを使いこなした。先進機材による精神の闇や夢想した異世界の再現。それが初期シュルツェの作品からうかがえる傾向だ。

72年にソロ第1作の「イルリヒト」で自立した。「狂った光」という意味の本作は、聴いていて、とてつもない恐怖感が襲ってくる音楽だった。

シュルツェの作品は近寄りがたいが、いったん入り込むと、なかなか抜け出せない魔力を放っている。目新しい楽器だったシンセを使った音楽が同時代に一斉に広がったのに、彼は凡百の同傾向音楽とは一線を画し、流行り廃りの激しい音楽界を生き残った。

斯界の水先案内人で専門CD店「ショップ・メカノ」を経営する中野泰博さんは、

「シュルツェは異世界や精神世界の深さを理性をもって作品として昇華させることができた人です。BGM的に消費される音楽ではありません」

と評価するーー。

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