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「はやぶさ」を救った教授
「勇気をもらえた」と日本中が沸きたった
朝日新聞記者 東山正宜(写真も)
「バカで、できが悪い」
国中均教授(50)は部下に向かってよく悪態をつく。記者が下手な感想を求めると、ぶっきらぼうに、
「虚仮の一念だけです」
と煙に巻く。
非常にやっかいな人物だが、「はやぶさプロジェクトチーム」に、この人がいなければ、奇跡の帰還は実現していなかった。日本の航空宇宙開発を担っている宇宙航空研究開発機構(JAXA)に勤め、探査機「はやぶさ」の新型エンジンの開発者だ。
昨年11月、火星近くを飛行していた「はやぶさ」のエンジンが止まったとき、チーム内は「もうだめだ」と弱気になったが、国中教授はあきらめなかった。故障している二つのエンジンを組み合わせて、1台分のエンジンの推進力を得るという裏技で乗り切った。
帰還にあたって、地球から3億キロ離れた小惑星イトカワの砂が入っている可能性のあるカプセルを回収するため、落下場所のオーストラリアに乗り込んだ。
「パラシュートを地上何キロで開くか」
最後の難関は、それだった。
地球の大気圏に突入する前にカプセルを分離し、パラシュートを開かせて砂漠地帯に落下させる──。簡単にみえる手順だったが、そうではなかった。
パラシュートを開く高さが高すぎると、風で流される距離が増え、最悪の場合、見つからなくなる。逆に高さが低いと地面に激突し、カプセルがバラバラになりかねない。
そもそも開く高さを決めてもパラシュートがその指示通りに開くのか。カプセルには自身の位置を知らせる電波発信器が付いているが、それがちゃんと作動するのか。
誰にもわからなかったーー。

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