2010年07月04日

終わる「世界の工場」

人民元切り上げに潜む中国政府の意図

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編集部 山田厚史


 胡錦濤中国国家主席が国賓として米国に招かれることが決まった。トロントで開かれたG20首脳会議の舞台裏で、米中が握手した結果である。G20を前に中国はやっかいな問題を抱えていた。「人民元問題」である。サミット前まで、

「中国政府は人民元を意図的に操作し輸出ドライブをかけている」

 という批判が先進国に渦巻いていた。急先鋒は米国議会。中国を「為替操作国」に指定し対抗的制裁措置を打とうという声まで上がっていたほどだ。胡錦濤主席はトロントで批判を浴びることになる、という観測が支配的だった。

 6月19日土曜日、中国人民銀行が、ドルに固定させてきた人民元を「将来に向け柔軟性をより持たせる」と明らかにし、空気を一変させた。相場の弾力性、つまり人民元相場が上昇することを容認する、というメッセージである。週が明けると元相場は動きだし、G20開始直前の25日には1ドル=6.7856元をつけ為替制度改革後の最高値を更新、その後も一貫して上昇し続けている。

 この数年、金融の舞台で中国は存在感を増している。世界銀行や国際通貨基金(IMF)の増資に積極的に応じ、出資比率を増やした。この種の国際機関は出資額に応じてポストが配分され、発言力が高まる。これまでアジアの代表は日本だったが、いまや中国が取って代わる勢いだ。巨額の貿易黒字を惜しげもなく使う中国のマネー外交は着実に成果を上げている。だが、弱点は人民元だったーー。

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