2010年09月05日

WTCにいた日本人たちを巡る「その後」

9・11 あの日から9年

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編集部 田村栄治 写真 家老芳美


 りそな銀行東葛エリア営業第二部長の斎藤暢康(43)は毎年、10月生まれの双子の息子(8)それぞれにあてて、イラスト入りのカードを出す。

「君は図画工作が得意だよね」

「君は体を動かすことが大好きだ」

 その時々に気づいたことを書く。

 ただ、息子たちはカードの存在を知らない。自宅に届くと、彼らの目に触れる前に回収してしまうからだ。

 こんなことを始めたのは、「あの事件」がきっかけだ。

 2001年9月11日。斎藤は、あさひ銀行(当時)ニューヨーク支店長代理だった。いつものように朝の打ち合わせをしていた午前8時45分過ぎ、突然の大揺れに襲われた。とっさにデスクにしがみつき、窓の外を見ると、巨大な火の玉が膨らんでいた。

「爆弾だ」

 そう思いながら階段を下りた。避難開始から約1時間後、間一髪のタイミングで崩壊直前のビルから脱出した。そこで初めて、旅客機が突っ込んだと知った。崩壊が始まったときにはまだビルの近くにいた。津波のような粉塵が、スローモーションのように背後から迫ってきた。

「死を覚悟しました。あと5分逃げ遅れていたら、間違いなく私もつぶされていました」

 翌月、妻はニューヨークの病院で双子を産んだ。自分に似ていた。新たな命の誕生と、それを目にできている幸運が、ひときわありがたかった。

 半面、いつかまた危機に遭遇するかもという不安もあった。もし自分が突然この世を去ることになっても、わが子を思う父親としての言葉だけは残しておきたい──。

 翌年から3人の息子たち(双子と現在中学2年の長男)の誕生日に毎年、ひそかにカードを送り始めたーー。

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