松本佳子[業界コンフィデンシャル]

2008年08月26日

引退する円楽さんお疲れさま そして奥さまも

2010年に三遊亭楽太郎さんが、6代目・三遊亭円楽を襲名することが決まった。名跡の"生前贈与"は珍しい。5代目・円楽さんは本名の吉河寛海さんに戻り、名実ともに落語界から引退する。

昨年2月、円楽さんが突然の引退宣言をした翌日、アポなしで都内のご自宅に伺った。ご迷惑だったろうにリビングにあげていただき、感激した。

その日の取材の目的は、実は円楽さんというより、奥さまだった。いままで陰で支えてきた奥さまに語っていただきたかった。

ところが奥さまは「私はそんな......」と言ってあくまでも固辞される。それでも粘ると、やっと「では、一言だけ。病気の治療に専念できるのでホッとしています。休みの日はいつもDVDを一緒に見るんです。これからはそれが毎日続くのが楽しみです」とおっしゃった。

円楽さんは人工透析で週3日は通院。加えて、脳梗塞、胃がん、肺がんなどいくつもの病気と闘ってきた。食事制限もあるのでご苦労も多かったと思う。「いい奥さんですね」と言うと、円楽さんは「いや、当たり前なんですよ」と照れていらした。

落語に、夫婦ゲンカをして女房が「この家に死ににきた」と言うお噺があるそうで、「それを言われたら亭主はもう何も言えなくなっちゃう。そこなんですよ。いまはそういうものがなさすぎる」と語っていただいた。若かりし頃、円楽さんも奥さまに「出ていけ!」と怒鳴ったことがあり、奥さまから「私はこの吉河家に死ににきた」と言われ、二度とそんなことは言えなくなったという。さらにさらに感激。

プロ意識が高く、誇り高い人だからこその今回の決断。円楽さん、本当にお疲れさまでした。その円楽さんを支えてこられた奥さまも、本当にお疲れさまでした。






三遊亭楽太郎 , 吉河寛海 , 夫婦ゲンカ

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