特ダネ記者魂

2009年07月21日

ウイグルの大暴動/中国は諸葛孔明の知略の採り入れを

[田岡俊次の特ダネ記者魂]


3世紀、三国時代の中国で蜀(今日の四川省が中心)の名宰相、諸葛孔明は南方の異民族が住む雲南を征服したが、反乱に悩まされた。だが蜀軍は反徒の首領孟獲を7度捕らえて7度釈放するほどの懐柔策で民心をつかみ、北方の強敵、魏との戦いで背後を脅かされる危険を防ぐのに成功したとされる。

7月初旬、中国の新疆ウイグル自治区ウルムチでおきたウイグル人の大暴動と鎮圧の際この故事を思い出した。ウイグル人は中国史に鉄勒、突厥などと記録されるトルコ系遊牧騎馬民族の末裔で、中国に度々侵攻した匈奴や欧州を脅かしたフンの主体も彼ら、との説がある。トルコ人発祥の地はいまのトルコではなく、アルタイ山脈の南麓で、まさにウルムチの周辺だ。11世紀頃から今日のトルコに侵入、南欧系住民を圧して支配地を拡大し、1453年には東ローマ帝国の首都コンスタンチノープルを陥落させ、東欧、中近東、北アフリカにまたがるオスマン帝国を建設した。

こんな武勇の民族だけに、清朝の乾隆帝が1759年新疆を征服しても反乱が続き、1867年には一時的に独立政権が生まれたし、1930年代にもウイグル騎兵集団が中国軍を破り、「東トルキスタン共和国」が独立宣言をしたこともある。戦後も騒乱、ソ連領への住民の逃亡などが絶えず、昨年8月、北京オリンピック直前にはカシュガルで警官16人が殺され、爆弾テロや検問所襲撃などの事件が頻発した。今回の暴動は広東省の工場でウイグル人と漢族の労働者が集団乱闘した事件がきっかけとされるが、昨年のテロ事件後、見せしめ的に公開裁判で死刑宣告をしたため、報復感情が高まっていた、とも言われる。

ウイグル人を厳罰で抑え込んでも、ロシアに対するチェチェン人と同様、中国の他の地域にテロが拡がる危険がある。特に沿海工業地帯まで延びた石油、天然ガスのパイプラインは脆弱で、もしそれが切断されると中国に進出した日、米など外国の企業にも影響が大きい。諸葛孔明の知略をできるだけ採り入れることが中国にとって良策ではあるまいか。

ウイグル , 中国 , 田岡俊次 , 諸葛孔明

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