特ダネ記者魂

2009年08月04日

非核二原則論の無知/核搭載艦はいない/18年前に撤去ずみ

[田岡俊次の特ダネ記者魂]


北朝鮮の核実験やミサイル発射に対抗して「非核三原則のうち『持ち込ませず』は廃止し、核搭載の米軍艦の寄港を認め、核抑止力を強めるべきだ」と自民党の一部議員やタカ派論客が主張している。また村田良平元外務次官が、核搭載艦の寄港を黙認する密約があったと、既成事実を認めたことも「非核二原則論」の背中を押した。このため民主党の鳩山代表らも「柔軟対応」を語る一方、社民党は激しく反発して「非核三原則の法制化」を唱え、民主、社民の対立が始まった。

だが、いずれの論者も「米軍は日本に核を持ち込みたがっている。日本が許せば核搭載艦が寄港する」と誤解しているようだ。現実には冷戦終了後の1991年9月27日に当時の先代ブッシュ米大統領が核削減声明を出し、空母、攻撃原潜(対艦船用)、巡洋艦、駆逐艦などから核兵器がすべて撤去され、93年までには核付き「トマホーク」巡航ミサイルも配備をやめている。米軍艦で核を積んでいるのは14隻の弾道ミサイル原潜だけで、太平洋岸ではワシントン州バンゴールに8隻がいるが、交代でアラスカ沖で待機しており、日本に寄港する可能性はまずない。

核任務に専念する弾道ミサイル原潜は別として、他の潜水艦、空母、水上艦の乗組員にとって核兵器は厄介者だった。万一奪われたり、勝手に使用する馬鹿が出ては大変だから、実弾を込めた銃をもつ海兵隊員を常に弾薬庫の警備につけ、核安全士官を乗せ、毎月1回は種々の核事故を想定して演習をしていた。他の任務、訓練で忙しいのに、まず使うことのない核に人手と神経を使うのはくだらないから核撤去は大歓迎された。

以来18年、当初陸上で保管された核兵器は大部分が廃棄され、士官のほとんどは核事故に対する訓練もしていない。韓国からも核兵器はすべて撤去され、欧州に残っていた核爆弾も今年中になくなるはずだ。いまどき核搭載艦の寄港を論じるのはトンチンカンだ。「そうしないなら、日本は核武装するぞ」と米国を脅しでもしない限り現実性はあるまい。

, 核兵器 , 田岡俊次

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