特ダネ記者魂

2009年08月18日

政権交代と「ブレ」/攘夷やめた元勲達/吉田茂も姿勢一変

[田岡俊次の特ダネ記者魂]


民主党の鳩山代表が7月17日の記者会見で、政権交代すればインド洋での給油活動は中止するのか、との問いに対し、「外交には継続性が必要で、すぐにやめるのは無謀な議論だ」と答えたため、自民党は「ブレ」を激しく非難している。「給油活動にあれだけ反対しておきながら、いまさら何だ」と言うのはもっともだが、政府の政策の問題点を突くのは野党の任務の一つである。一方、政権党になれば対外関係を円滑に処置する責任が生じるから、政権交代にこの種のブレはつきものだ。

明治維新の元勲たちは、徳川幕府が外国の圧力に屈して開国したことに対し、「尊皇攘夷」を唱えて倒幕に成功したが、慶応4年1月の鳥羽伏見の戦いで勝ち、王政復古が確定すると、ただちに諸外国公使に対し、「従前の条約に大君とあるのは天皇と換える」と通告し、すべての条約の有効性を確認した。この変節には幕臣も純粋な攘夷論者も憤慨したが、もし攘夷を実行しておれば戦争は不可避で、外交の継続性を重視したのは正解だった。

戦後の防衛政策で多分最大のブレを示したのは麻生首相の祖父吉田茂だ。昭和21年6月現行憲法制定時の国会答弁で吉田首相は「多くの戦争は正当防衛を名目として行われてきた。正当防衛戦争を認めることは有害無益」と第9条を正当化した。だが、4年後に朝鮮戦争が始まると、マッカーサー元帥の求めに応じ、自衛のための警察予備隊を創設した。米国の方針転換が原因ではあるが、「正当防衛は有害無益」とは占領軍に尻尾の振りすぎだ。

政権交代後に公約を反故にするなら背信的だが、総選挙の前に修正するのは比較的誠実なほうだ。民主党は来年1月の法律の期限までは給油を続ける姿勢だが、その後が課題だ。米海軍もアフガン戦争の一環としての海上哨戒はあまり意味がないため規模を縮小しており、いまや最大の給油対象は目の前に母港があるパキスタン海軍だ。それよりは補給艦をソマリア沖に移動し、海賊に対して商船を護衛している26カ国の艦艇に給油するほうが国益に直結し、日本の評価も高まるだろう。

政権交代 , 田岡俊次 , 給油問題 , 自民党

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