特ダネ記者魂

2009年10月06日

今や「信用不安」/こんなJALに誰がした

[山田厚史の特ダネ記者魂]

それにしても異常な記者会見だった。9月30日午後2時に緊急招集がかかり1時間後、前原国土交通相が「万が一の場合は政府が支援する」と日航救済を明言した。外部から再建請負人を集めたタスクフォースが発足し、これから大手術という時に、である。

いったい何が、と訝る記者に国交相は、海外での不穏な動きを語った。オーストラリアの保険会社や英国の銀行がJALから手を引き始めた。保険や金融がつかないと航空券は売りにくい。販売減は資金繰りを悪化させる。株価は崩れ始めた。手をこまねいていると市場の風圧にJALは翼を折られてしまう。

JALと言えば「あこがれの職場」のはずだった。見栄えするお仕事、給料も誇りも高く、華のある企業だった。それが破綻寸前の銀行みたいに信用不安が拡がり始めた。

政府は「支える」というが、資金を注入すれば大丈夫という状態ではない。増資しても融資してもすぐに資金繰りが悪化する「ザル」のような企業体質になっている。

原因は二つ。不採算路線をたくさん抱え、飛べば飛ぶほど赤字が増える。栄光の日々に制度化された給与・年金など高待遇が「負の遺産」として重くのしかかっている。

上場企業なのに政府管理の「日本の翼」。儲からないとわかっていても海外・国内に路線を伸ばした。苦しくなると政府系金融機関からカネが出て急場をしのぐ。経営陣は政権ベッタリ。族議員や運輸官僚に受けがよくなければ社長になれない、とまで言われた。裾野の広い企業群は好待遇で天下りする官僚たちの受け皿。旧国鉄とそっくりである。

揮発油税を財源とする道路整備特別会計が土建国家を支えたように、着陸料や燃料税で賄う空港整備特別会計は地方空港を増やし続けた。開港するたびに赤字路線が生まれる。世界の空は大競争時代に入っているのに、国内政治ともたれ合う行政と経営。行き着いた先がお先真っ暗な日航の今日である。

「アジアに羽ばたく強いエアライン」に再生させるには、従業員もOBも相当の痛みを求められる。民主党はやり抜けるか。「危なくなったら政府が助ける」を続けるだけなら政権交代した意味は全くない。

JAL , 日本航空 , 民主党

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