特ダネ記者魂

2009年11月02日

百億円無担保を/「通常の融資」という自民に甘い大銀行

[山田厚史の特ダネ記者魂]

政治資金収支報告書で面白い数字に出会った。9月末公表の自民党の報告書である。

08年10月20日、三菱東京UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行から25億円ずつ融資を受けたと記載されている。

9月に麻生内閣が発足し総選挙が秒読みとされた時期。世界はリーマンショックに青ざめ、米国や欧州では政府が銀行救済に走り出していた。そんな時にメガバンクが横並びで総額75億円を自民党に協調融資した。

自民党への融資は「大名貸し」とか「御用金」と陰で言われている。殿様に無理を言われた出入り商人が資金を用立てするあの関係。貸す側も権力と「しがらみ」を繋ぐことが商売に必要だった。「お代官様と越後屋」が裏でうまくやっていたころならともかく、透明性や融資原則が求められる昨今「現代の御用金」を銀行はどう考えているのだろう。

「説明つかない融資ですから、困ってますよ」と内部の人はそっと言う。担保がない、返済計画が定かではない、つまり危ない融資と言うのだ。「形式を整えるため、融資時点で自民党の幹事長、経理局長に一筆書いてもらい個人保証をとっています」

残高(今年9月末)を見ると三菱東京UFJ34億円、みずほ31億円、三井住友31億円、りそな23億円。借金総額は119億円。頻繁に代わる幹事長らの個人保証で済む金額でないことは明らかだ。

改めて報告書を見る。資産に計上されているのは永田町1丁目にある建物が15億円、自動車8台約1億円、それだけだ。16億円の資産しかない団体が100億円を超える借金。民間企業なら債務超過が問題になる状態だ。そこに無担保で追加融資している。金融の常識では考えられないことだ。

全国銀行協会会長の記者会見で協会長である永易三菱東京UFJ銀行頭取に質問した。永易さんは「個別の事案についてはお答えできない」と門前払いである。「無担保融資と聞いているが」とただしたが「通常の融資だ」と言い張った。そう言うしかないのだろう。

銀行は金融庁が監督するはずだが、金融担当大臣が自民党ではチェックも働かなかったろう。政権交代で状況は変わった。

山田厚史 , 政権交代 , 銀行

バックナンバー

アエラ最新号

2012年2月13日号

2012年2月13日号

最新号キーワード

食の信念が揺らぐ 銀行窓販保険の魅力と危険 早慶女子「一般職がいい」 女心の複雑 「脱東電」で電気代26%節約 「驚異の儲け」グリーよ どこへ行く 絢香インタビュー 荻原博子の石巻ルポ 今年の花粉症 AKB48「恋愛で脱退」のルールと戦略 

2012年2月13日号
定価:380円(税込)
表紙:松田翔太/俳優

雑誌を購入

デジタル雑誌を購入

から検索
から検索