特ダネ記者魂

2009年12月29日

天皇・憲法を「お守りする」のは官僚の仕事か?

[山田厚史の特ダネ記者魂]

「天皇の政治利用」の論議を聞きながら、「雅子妃のご病気」を考えた。私がロンドンに駐在していたころ、雅子さまはオックスフォード大にいた。「結婚話」が持ち上がり、一転して決断されたのは皇太子さまの誠意と「皇室外交」に望みを託されたから、と思った。ダイアナ妃が国際親善に活躍されていた頃である。だが日本の皇室は、自らの価値観を行動に移すことなど不可能だった。

「天皇をお守りする立場から政権に反省を求めた」とする宮内庁の羽毛田長官に小沢一郎氏は「陛下に聞けば『会いましょう』と必ずおっしゃる」と反論する。

では天皇陛下のご意思を聞いてみましょう、ということは日本であり得ない。天皇は意思表示しない。それが象徴天皇の立場である。

「政治の操り人形にしてはいけない」という声がある。では意思表示しない天皇を「操る」のは誰か。宮内庁である。分厚い御簾の奧で、天皇のご意思を忖度しながら、誰と会わせるか、外遊先はいずこにするか、判断を最終的に下すのは宮内庁の官僚だ。羽毛田長官は厚生省から横滑りした旧内務官僚である。

首相を操るように小沢氏が天皇まで差配するのは世の中が許さないだろう。だが内規を根拠に天皇に対する既得権を役人が主張することが妥当なのか。天皇の行動は誰が差配しようと政治性を帯びる。人格の尊重も含め、議論すべき課題だ。

憲法と内閣法制局の関係も似ている。鳩山政権は、内閣法制局長官に国会答弁させない法改正を進めている。朝日新聞は社説で「歴代内閣が法制局を尊重してきたのは、憲法解釈が時々の政権でくるくると変わるのは好ましくないと考えたからだ」と書いた。政治家に任せると危ないから、専門家の役人に任せよう、ということである。もっともらしいが、大事な点が抜けていないか。

憲法は81条で「合憲か違憲か」の判断は最高裁判所に委ねている。ところが最高裁は安全保障に関わる憲法判断を回避してきた。そこで内閣法制局が代わって判断してきた。

三権分立なのに、行政権が憲法判断までする。法制局長官は官僚である。日本は官僚が法案を書き、執行し、憲法判断までしてきた。だから官僚内閣制と言われる。

宮内庁も内閣法制局も目が届きにくい役所だが、天皇と憲法という国の根幹を握っている。聖域が次々に炙り出された。これも政権交代の成果と見るべきだろう。

天皇 , 宮内庁 , 山田厚史 , 皇室

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