特ダネ記者魂

2010年02月16日

お国に流行る謀略説 / どこか似ている朝青龍とトヨタ

[山田厚史の特ダネ記者魂]

 週刊新潮の中吊り広告に「『トヨタは生贄』というアメリカ謀略」。やっぱり出ました謀略説、という感じである。新潮は「米国でのトヨタ叩きはこれまでに例がない異様なもの」で、カナダの経済紙の見方を紹介し「官民挙げての謀略にしか見えない」と書いている。

 昨年8月にレクサスの暴走事故で4人が死んだ。「アクセルが戻らない」と携帯で叫びながら190キロで激突したドライバーの悲鳴がメディアで流れ、追及が始まった。

 朝日新聞は現地に記者を送って実情を紹介したが、日本メディアの報道は概ね控えめ。その陰で「謀略説」が語られていた。

「トヨタを叩いてGMはじめ米国勢の売り上げを伸ばそうという魂胆が透けて見えるね」

「鳩山首相が普天間を決めないから、苛立った米国政府が煽っているらしい」

 面白い深読みだが「朝青龍」で起きた日本とモンゴルの反応の違いに似ていないか。

「日本の横綱の優勝記録を破られないように朝青龍は辞めさせられた」とモンゴルでは言われている。日本人なら「それはないよ」と反応するが、誇りに思う強い横綱が、あっけなく引退させられれば「裏で何かある」と考えるのもうなずける。

 朝青龍は日本というアウェーで戦い、「強ければいいだろ」では通じなかった。トヨタも自動車発祥の地で実力でのし上がったが、しょせん「日本車」。相撲ファンが日本人力士に声援を送るように、景気が悪くなればGMを破ったトヨタへの風当たりはきつくなる。

「横綱の品格」を朝青龍が求められたように、米国では「消費者重視・速やかな情報公開」が大事な徳目だ。事故や不具合の通報を受けながら、内部だけで検討し、適切な処理をせず、情報を消費者に伝えていなかった、と「隠蔽体質」が疑われている。

 トヨタは巨大企業で広告の大スポンサーである。ホームグラウンドなら、ことを荒立てずに処理することも可能だったかもしれないが、アウェーでは思い通りにならない。

 後にリコールになるプリウスの「不具合」は国土交通省にも届けがないまま、1月の生産車から「改良」されていた。米国なら「隠蔽」と問題になりかねない。「日本はメディアも役所もトヨタにコントロールされている」と米メディアで働く友人は言う。これも陰謀説か。皆さんはどう思いますか?

GM , トヨタ , 朝青龍 , 謀略説 , 鳩山首相

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