特ダネ記者魂

2010年03月09日

米国の核削減でトマホークも廃棄/どうなる「核の傘」

[田岡俊次の特ダネ記者魂]

 米国政府は近く公表する「核態勢見直し」(Nuclear Posture Review)で保有する核兵器「数千発」を削減する、とニューヨーク・タイムズは報じている。「その多くは保管中のもの」とされ、米軍は推定4075発のうち、2702発を実戦配備中だから、保管中は1373発前後のはずだ。このほか西欧4カ国とトルコに配備中の計約200発の戦術(小型)核爆弾を廃棄することも協議中だ。日本に対しては昨年中に、保管中の核付き巡航ミサイル「トマホーク」(海軍用、射程2500キロ、200キロトン弾頭)を廃棄することを伝え、その了解を得ている。

 米国は冷戦終了直後の1991年9月27日に核兵器の大幅削減を発表し、弾道ミサイル潜水艦以外の軍艦の核を撤去、核付き「トマホーク」325発も陸揚げ保管していた。19年前からお蔵入りのトマホークはすでに大半が使用不能状態とも言われる。それを廃棄しても米国は大陸間弾道ミサイル500基、潜水艦発射の弾道ミサイル336基、爆撃機90機を持つから、自国防衛用の核抑止力は十分だ。IT化が進んだ通常戦力は圧倒的で、戦術核を使う必要もなくなった。だがどんな手段で非核の同盟国に「核の傘」を提供するか、との疑問が残る。米国は空母からも韓国からもとっくに核を撤去している。

 米国は将来、米本土からの非核長射程ミサイルによる攻撃など、精密誘導兵器により同盟国に対する核攻撃を抑止する構想を抱いている。かつての「核抑止」に代えて、近年は「拡大抑止」という表現を使うのは、必ずしも核報復を考えていないことの表れだろう。例えば北朝鮮に対して核を使えば、韓国などに放射性降下物が降るし、統一後の残留放射能や原爆症患者を考えれば、韓国が核使用に反対する可能性は高く、精密攻撃で核と同様の抑止効果を持てないか、と米国が考えるのも自然だろう。

 だが、本当にそれが可能なら、米国自身の防衛にも核は不要だ。米国が今回のNPRでも核の「先制不使用」や「非核保有国への核の不使用」を宣言せず、自国防衛には核を先に使う可能性を留保しながら、同盟国は非核の精密誘導兵器で守れる、というのは説得力を欠いている。

Nuclear Posture Review , トマホーク , ニューヨーク・タイムズ , 核の傘 , 核態勢見直し

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