特ダネ記者魂

2010年04月27日

暗殺リスク上昇? ウォール街と対決オバマ金融改革

[山田厚史の特ダネ記者魂]


ゴールドマン・サックスが「詐欺的商法」を行ったとして米証券取引委員会(SEC)に訴追された。「していない」と反発するゴールドマンに、オバマ大統領は「徹底的にやろうじゃないか」と対決姿勢を鮮明にした。

「ウォール街の帝王」と呼ばれるゴールドマンは「政商」の顔を併せ持つ。最高経営責任者だったヘンリー・ポールソン氏はブッシュ政権の財務長官だった。選対資金担当としてビル・クリントン氏を応援したロバート・ルービン氏は財務長官になった。

日本でいえば野村証券会長みたいな人物が自民、民主を問わず政権入りして金融の規制緩和や破綻救済の旗を振る、という国である。集金力抜群、人脈は広く、ディープな情報を持つ。頼りになる参謀だが、民衆から見れば「マネーの権化」である。

詐欺的商法は日本でも噂になっていた。サブプライムローンを組み込んだ金融商品をゴールドマンが大々的に売りまくった時のことだ。「勧めておきながら、陰でヘッジファンドと組んで売りを仕掛け、投資家に大損させた」と証券関係者は呆れていた。

金融市場には「あざとい商売」が横行する。世界中が金融緩和に走り、じゃぶじゃぶになったマネーを、わし掴みにする争奪戦がウォール街で繰り広げられていた。騙してでも儲けた者が勝ち、報酬額が人の価値を表すという強欲競争がまかり通っていた。 「ポールソンが財務長官なら、問題にもならないだろう」とされていた商売が、政権交代でやり玉に挙がった。抑え込まれていたSECが名誉挽回とばかりに動き出したのである。

「対決姿勢は中間選挙に向けた選挙対策」との見方がある。そればかりではないだろう。「市場の活気・資金効率・カネ儲け」をよしとしてお行儀に目をつむってきた米国の金融行政が「規律ある市場・公正な商売・強欲の抑制」へと軸足を移した。

潮流は「金融の規制強化」へと動いている。銀行がルールをかいくぐって「陰の金融システム」を作り、ヘッジファンドを道具にやりたい放題して自滅した。金融界を抱き起こしたオバマ政権は厳しい規制法案を用意している。「金融の暴走が社会を壊した」ことへの反省である。ゴールドマン訴追は新たな金融ルールに向けた号砲だろう。

医療保険制度で保守層の反発を買い、今度は金融界を敵に回す。「暗殺リスク上昇」が囁かれる。オバマも覚悟の上だろう。

オバマ , ゴールドマン・サックス , 山田厚史

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