特ダネ記者魂

2010年05月18日

ユーロ危機/悪いのはギリシャ?それは違います

[山田厚史の特ダネ記者魂]

 就業人口の30%近くが公務員、待遇に不満があればストライキ。外貨を稼げるのは観光とオリーブくらい。国際収支はいつも赤字、粉飾まがいの国家財政は破綻寸前。ヨーロッパ文明発祥の地・ギリシャがボロクソに言われている。

「問題を抱えた経済」であることは確かだ。だが公務員天国・赤字経済・財政危機など世界には珍しくない。アメリカ、中国、日本だって思い当たる節はあるはず。問題はギリシャという国それ自体ではなく、ギリシャをユーロ通貨圏に入れたところにある。

 16カ国が共通通貨で結ばれたユーロランド。国力の差を通貨(為替)で調整することを放棄した共同体でもある。そこでは次のようなことが起こる。

 強い企業・国が黒字を稼ぎまくる。稼いだカネは弱い国に貸したり投資したりする。弱い国は国債で外国からカネを集める。人々の暮らしを賄うためだ。

 ドイツやフランスの銀行がギリシャ国債をたくさん持っているのはそんな事情だ。ギリシャが独自の通貨を持っていれば切り下げして競争力を増すという手がある。ユーロ圏に居る限り、それはできない。

 EU統合はフランスの政治的野心とドイツ経済が推進力だ。統一市場は強い企業を抱えるドイツの国益につながる。

 同じ面子で麻雀をしている仲間があるとしよう。勝つ人、負ける人が決まっていれば、借金証文を書きながらゲームを続けることになる。やがて借金が膨らみ返済不能になる。ゲームを止めるか、借金を棒引きして続けるか、どちらかだ。

 EUは「棒引き路線」を選んだようだ。最大7500億ユーロ(約90兆円)の緊急融資制度は負け組への「公的資金」だ。

 ユーロの欠陥は、統一市場を作りながら、勝ち負けの調整機能がなかったことだ。それがやっとできつつある。円圏・日本で考えれば、夕張や沖縄など「負け地域」には政府から様々な財政支援がある。経済圏の維持には政府による調整が必要なのだ。

「遅れた経済」を通貨圏に受け入れれば、ギリシャのような問題はいつか起こる。どうすればいいか。弱い国を追い出すか、強い国が抜けるか。いずれもユーロ崩壊である。

 後戻りできないなら、国家を解体し財政を一本化するしかない。緊急支援はその方向にEUが一歩踏み出したということである。

ギリシャ , ユーロランド , ユーロ危機 , 緊急融資制度

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