特ダネ記者魂

2010年07月06日

賭博は反社会行為か/文科省も胴元だしパチンコは黙認だ

[田岡俊次の特ダネ記者魂]

 記者という職業が十分刺激的であるためか、私自身は賭博に全く興味を抱かなかったが、相撲取りの野球賭博問題で、相撲協会の監督官庁である文部科学省の役人が賭博を「反社会的行為」と叱責するのには偽善を感じた。文部科学省は最高6億円の賞金が出るサッカーくじの胴元、独立行政法人「日本スポーツ振興センター」を所管し、文部官僚2人が役員となっている。昨年度の売り上げは785億円で、今年度80億円を国庫に納付した。賭博が反社会的行為なら、政府が特別法まで制定して国民の射幸心を煽り、納付金を得るのは不道徳の極みだ。

 昭和25年11月の最高裁判決は「賭博は自己の財物を好むところに投ずるだけで、他人の財産権を侵害せず、一見各人の自由行為に属し、罪悪と称するに足りないようにも見えるが」と言いつつ「怠惰、浪費の弊風を生じ、勤労の美風を害し、副次的犯罪を誘発」するから犯罪なのだと説明する。元々は罪悪感がなかったようで、日本書紀には685年に「天武天皇が宮中で博戯をさせた」と記されているが、その4年後に雙六禁断之令が出て以後、日本では表面的には賭博は禁制だった。徳川幕府は博打に厳しく、遠島、死罪で臨み、賭博は裏社会の現象となった。明治政府も厳禁主義を踏襲し、現行刑法185条が仲間内の単純賭博に「50万円以下の罰金」を科しているのはその名残だが、諸外国ではカードゲームや競馬などが慣行的に許されていたから、その風潮が流入し1892年には大審院(最高裁)判事達が料亭で花札をしたことが露見する騒ぎも起きた。1923年に旧競馬法が制定され、馬券の発売を許した時点で、賭博への禁忌はほぼ消えたと言えよう。

 戦後は競輪など公営ギャンブルが広がり、パチンコの景品を現金化することも黙認され、業界団体に警察官僚が天下りしているのだから、かけマージャン、かけゴルフなどの単純賭博が立件されることはまれになった。その中で相撲取りだけに高い道徳水準を求めるのは無理としても彼等が暴力団と関わるのは別問題で、八百長の原因にもなりかねない。それを防ぐには、野球賭博も文部科学省にやらせるのも一案だ。

公営ギャンブル , 反社会的行為 , 文部科学省 , 相撲 , 野球賭博

バックナンバー

アエラ最新号

2012年2月13日号

2012年2月13日号

最新号キーワード

食の信念が揺らぐ 銀行窓販保険の魅力と危険 早慶女子「一般職がいい」 女心の複雑 「脱東電」で電気代26%節約 「驚異の儲け」グリーよ どこへ行く 絢香インタビュー 荻原博子の石巻ルポ 今年の花粉症 AKB48「恋愛で脱退」のルールと戦略 

2012年2月13日号
定価:380円(税込)
表紙:松田翔太/俳優

雑誌を購入

デジタル雑誌を購入

から検索
から検索