特ダネ記者魂

2010年07月13日

税金から逃げる.../納税は財界人の誇りではなかったか

[山田厚史の特ダネ記者魂]

「法人税引き下げ」の大合唱が始まった。菅首相は来年度の税制改正に盛り込む意向だという。「法人税キャンペーン」は日本経団連と経済産業省が音頭を取っているが、いまや民主党、自民党、みんなの党、公明党まで同調し、正面から反対するのは共産党ぐらいである。「法人税が高いから工場が海外に出て空洞化が進む」とか「外資が日本に来ない」などと言われている。本当だろうか?

 経済同友会のリーダーの一人が私的な会合でこんなことを言っていた。 「法人税が高いから海外にでる、なんておかしな話です。企業の国際展開は法人税うんぬんではない。もっと大事なことで決まる」

 市場の魅力、労働力の質と価格、物流などインフラ、政治社会秩序など総合的に判断される。税制も一つの要素だが、決定を左右するほどではないという。仮に法人税が10%下がったとしても企業の海外移転は止まらないし、外資がどっと日本に来るわけでもない。

 景気が悪くなると経済界から「おねだり」が増える。「エコカー減税・補助金」もその一例だ。自動車業界はリーマン・ショックで軒並み赤字になった。政府は「エコカーへの乗り換え」を口実に救済の手を差し伸べた。補助金・減税で一台当たり二十数万円になる。常態化している値引きを財政が肩代わりしたようなもので、補助金は「1年限りの緊急措置」のはずだった。それが延長され、9月末まで延びた。9月が近づき再延長が浮上している。

「打ち切りになると販売はがた落ち。景気は失速します」と業界の人は言う。補助金は6300億円、減税はこれを上回る規模と見られる。事実上の「公的資金の注入」である。政府に助けられながら日産ではカルロス・ゴーン社長が8億9100万円の報酬を得ていた。業界は今年3月期の決算で黒字を回復した。補助金・減税は打ち切ってもいいはずだが「景気」を人質に再延長を画策する。

 さて法人税だが、トヨタは「払っているかどうかは御容赦願いたい」。日産は「課税所得では赤字。納税はなし」。前年度の赤字を繰り越すことで法人税の支払いを免れる。盛大にやっているのが銀行業界だ。

 1億円以上の高額所得者が6人いたみずほフィナンシャルグループは「02年3月以来法人税は払っていない」。昔の財界人は「利益をあげ国家に納税することが企業人の責務」と言った。その気概はどこへいったのだろう。

カルロス・ゴーン , トヨタ , みずほフィナンシャルグループ , 公的資金 , 日産 , 法人税 , 税制改正 , 菅首相

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