特ダネ記者魂

2010年07月20日

戦前の2大政党は泥仕合で破綻し独裁のドア開いた

[田岡俊次の特ダネ記者魂]

 7月11日の参議院議員選挙で民主党が大敗し「ねじれ国会」が再現したことで、日本の政治は混迷期に突入しそうだ。昨年8月以前のように与党が衆議院の3分の2以上を占めてはいないから、参議院で否決された法案を衆議院で再可決して成立させることはできない。連立工作が成功しなければ、政府・与党は何も決められない状況の中、解散に追い込まれ、菅内閣も短命に終わる公算が高い。

 これは昭和初期の2大政党時代を想起させる。大正14(1925)年に25歳以上の男子に選挙権を与える「普通選挙法」が成立し、昭和2(1927)年には立憲民政党と立憲政友会の2大政党が並立することになったが、以後、昭和15(1940)年に全政党が解散、「大政翼賛会」に統合されるまでの13年間に12人の首相が生まれた。浜口雄幸(民政党)、犬養毅(政友会)のように右翼、軍人のテロに倒れた首相もいたが、陸軍大将林銑十郎は首相在任4カ月、同阿部信行は4カ月半、海軍大将米内光政は6カ月、検事出身の平沼騏一郎は8カ月弱と短命内閣が続く中、日本は中国に深入りし、対米戦争に向かって漂流することになった。

 政友会は地方の地主層、民政党は都市の資本家層を背景にした、と言われるが、2大政党の政治理念や政策には事実上大差がなかっただけに、競って軍や国民の対外強硬論に迎合して人気を得ようとした。たがいに相手の「弱腰」、国防への認識不足を非難し、スキャンダルを探し、自由主義的な刑法、憲法学者を攻撃し、それを任用した政府の責任を問うなど、泥仕合を繰り返した。それが国民の議会政治への軽侮を招き「政党政治排撃」を叫ぶ軍人の力を強め、政党解散を招いた。今日の民主党と自民党も、共に沖縄・辺野古岬での基地建設と日米同盟強化を唱え、消費税10%を語る。安全保障と財政の2大課題で政策は共通しており、戦前と同様に争点は足の引っ張り合いになりかねない。日清、日露戦争の勝利を背景にした当時の軍のような威信は自衛隊にはなく、政治に介入する力は乏しいが、すでに民主、自民に失望した人々の間には、強権を振るって改革を進める知事などへの期待感が出つつある。2大政党の泥仕合は独裁へのドアを開きかねないのだ。

ねじれ国会 , 大政翼賛会 , 平沼騏一郎 , 林銑十郎 , 浜口雄幸 , 犬養毅 , 菅内閣 , 阿部信行

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