特ダネ記者魂

2010年07月27日

そして「ねじれ」/一票の格差が民主を敗北させた

[山田厚史の特ダネ記者魂]

「壮大な喜劇が日本列島で演じられた」

 21日、参院選の東京選挙区での選挙無効を求め行政訴訟を起こした升永英俊弁護士の言葉である。

 民主党は選挙区で2275万票(得票率38.97%)集めたが当選は28人。自民党は1949万票(同33.38%)で39人を当選させた。より多くの支持を集めながら民主党は負けた。勝敗を分けたのは「1人区」である。民主は8勝21敗。差し引き13議席が「ねじれ国会」を生むことになった。

 今や参議院の1人区が日本政治のキャスチングボートを握っている。「1人区」がどんなところか。平たく言えば「地方」「農村部」。参院選は都道府県が選挙区になり、人口の少ない県は「定員1」の1人区だ。

 議員1人あたりの有権者数が最少の鳥取県と最多の神奈川県の格差は5倍、東京都は4.37倍の開きがある。つまり1人区の有権者は都市部の5倍近い票の重みを持ち、この人たちの投票で政界の勢力図が変わる。

 国政には都市と農村を引き裂く課題が山積している。公共事業の削減や補助金カット。都市住民は「もっと削れ」と叫ぶが、税金への依存が大きい地方では「まだ削るのか」である。どちらが正しいか、ではなく民意を政治に反映する「票の重み」に深刻な差があることが問題なのだ。

 国会も大手メディアも首都にある。いきおい都会の声が「世論」と思われがちだが、選挙の仕組みはその反対なのだ。微妙にバランスを取っている、という見方もあろうが、今の仕組みは「田舎」の声が拡大されて国政に反映される構造だ。

 民主党の惨敗は「菅首相の唐突な消費税10%」が引き金になったとされている。真の敗因は「選挙制度の歪み」ではないか。

 民主は得票で勝っていながら選挙制度で負けた。それがねじれ国会を生み、政権が揺れ、国民に失望が広がる。

「一票の重み」の訴訟は各地の高裁で「違憲判決」が相次いだ。しかし国会は立ちすくんだまま。その報いが「立法機能の麻痺」となって返ってきたのである。責任は最高裁にもある。「一票の格差」を容認する判決を出してきた。

 国家の心臓部で自浄作用が働かない。これは喜劇なのか悲劇なのか。あなたはどう思いますか?

1人区 , ねじれ国会 , 一票の格差 , 升永英俊 , 民主党 , 自民党 , 選挙制度の歪み

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