2008年07月18日

「月収20万以下」が急増

②歯科医

◆不安定な雇用

手に職をつけて生涯働きたい。そう思い、歯科医になったヒロコさん(31)は、不安定な雇用に悩んでいる。国家試験に合格後、都内の歯科診療所で働き始めた。最初の半年間は月収10万円。その後日給1万5000円となり、2年目から分院を任されたが、日給は変わらなかった。4年目に賃金アップを院長に切り出すと、「勉強させてやっている」と一蹴された。これを機に転職したが、収入は完全歩合制のため、20万円を切る月もある。収入安定のために別の2カ所の診療所でアルバイトを掛け持ちしていたが、そのひとつからは患者が少ない、とクビを言い渡された。

◆常勤医になりにくい

新卒者の就職先は以前から診療所が多く、腕を磨きつつ開業資金を蓄え、いずれ独立する、というのが典型的なパターンだった。だが最近は、「常勤医を雇える経営環境にない診療所が増えてきた。非常勤から常勤になりにくくなっている」(日本医師会)。これは歯科医がすでに飽和状態にあることに因る。一方で、歯科医療費は10年以上横ばいなので、歯科医1人当たりの医療費は当然減っている。また、厚労省は歯科医の数がすでに過剰だと認めており、「合格基準の引き上げと併せ、入学定員を減らす必要もある」と打開策を提示する。だが、文科省は「大学には経営の自治が認められており、一方的に定員を削減しろとは言えない」と、足並みはそろわない。

◆『自由診療』学んで開業

都心のビジネス街で診療所を営むハルオさん(33)は「不安定な雇用から抜け出すには、自由診療を中心にして完全歩合制で死ぬほど働くか、イチかバチか開業するしかない」と言い切り、ワーキングプアを脱した。保険が適用されない治療を行う自由診療は、歯科医が自由に料金を設定できることもあり、保険診療に比べて格段に実入りがいい。ハルオさんは自由診療を主に手がける診療所で働き、資金をため、開業を果たした。だが、こんな心配が拭えないという。「歯科医師の余りの状況が改善されないと、歯科医は自由診療でしか収入を確保できなくなる。すでに自由診療しかやらない診療所は増えている。近い将来、金持ちしか治療を受けられなくなるかもしれない」






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