2008年09月12日

首相府占拠お祭り騒ぎ

ルポ 非常事態宣言が出たタイの首都バンコク

フォトジャーナリスト 山田宏次郎


◆非常事態宣言でも変わらない風景

南国特有の蒸し暑い夜、オープンエアのレストランで冷たいビールを飲みながら街を行き交う人々に目を向けると数年ぶりに古い友人と出会うことがある。世界中の旅行者が集うバンコクのカオサンロードは、そんな場所だ。非常事態宣言が発令された9月2日の夜も、いつもと変わらぬ風景があった。

◆デモ演説の合間にロックも

反政府団体「民主主義市民連合(PAD)」が首相府を占拠したのは8月26日。タクシン元首相の傀儡と言われるサマック政権に退陣を求めるPAD主導のデモは5月末から続いており、多いときの参加者は数万人に達していた。私は、宣言後もPADの占拠が続く首相府に向かった。

だが、熱気はすさまじいものの、デモという緊迫感は薄い。首相府前は記念撮影する市民が列をなし、路上には屋台が並ぶ。仮設トイレや簡易シャワー、さらにはステージまで設置され、演説の合間にロックなどのコンサートが開かれていた。

◆首相失職後も続く占拠

1週間後の9月9日。サマック首相は失職した。反タクシン元首相派の判事が多数を占める憲法裁判所が、首相のテレビ出演を違憲とする判決を下したのだ。PAD側はそれでもなお下院解散を求めて首相府占拠を続けると宣言した。お祭り気分の騒動が流血の事態に転じる危険性をはらみながら、タイは混迷の度を深めている。

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