2008年09月21日

質問攻めが会社を救う

組織の常識を覆せ

編集部 小林明子


◆部長がカミングアウト

2年前の夏、富士ゼロックスのすべての部長約200人を対象に、3日間の研修が開かれた。ある部屋では、地方の販売会社に出向している50代の部長が、悩みを漏らし始めた。そこに異なる職種に就く部長たちが口を挟んだ。悩みを打ち明けて1時間後、販売会社の部長は自らに言い聞かせるようにつぶやいた。「うちの会社に魅力がなかったのかなあ」。部下を変えるのではなく、職場を変えよう。その気分が口をついた。「よくそこに気づいたな」。一人の部長が手の甲で涙を拭った。50歳を過ぎた男たちはもらい泣きした。

◆質問から大チャンス

この会議にはルールがあった。一人が問題提起をする。他の出席者は質問か、聞かれたことの答えしか発言できず、意見を言ってはダメ。ビジネスで「質問力」の重要さは昔から指摘されてきた。タイミングよく鋭い質問を投げかけることで一目置かれたり、ほしい答えをうまく引き出したりできる。質問が大きなビジネスチャンスに結びつくこともある。その精神を発展・進化させたのがこの「質問会議」。「アクションラーニング」と言われる手法で、米国の企業で広がり、日本の企業も取り入れ始めている。

◆「おバカ質問」で中止

質問会議は、問題提起した人を「質問攻め」にするから、質問力の土台を身につけられる。そんな中でバカな質問はむしろ歓迎される。あるコンピューター会社では、40代の部長が部下に、「新規プロジェクトが進まないのはなぜか」と問いかけた。入社2年目の男性社員は苦し紛れにこう聞いた。「何のためにこのプロジェクトをするのですか」。一瞬、みんなの動きが止まった。今さら何聞いてんだ、こいつ。だが、いざ答えようとした部長は言葉に詰まった。「......もしかして、俺がやりたかっただけなのか」。結局、プロジェクトは立ち消えになった。無駄な投資と判断されたからだ。

◆「質問会議」効果

研修を企画した富士ゼロックス総合教育研究所のエグゼクティブコンサルタント、金井康弘さんは振り返る。「チームを混合編成にしたのは、業務を知らない人同士のほうが、素朴な質問をぶつけられるから。想像もつかないような質問で固定観念が取り払われ、新しい視点に気づきやすい」。研修前と後で、本人と上司、部下、同僚の採点による多面診断をしたら、3分の1の部長が大幅に得点アップした。リーダーとしての振る舞いも変わってきた。『質問会議』の著書がある日本アクションラーニング協会代表の清宮普美代さんはこう話す。「質問会議は、言ってみれば人の頭を使って考える方法。全員が一つの問題に向き合い、その問題の本質を探ると同時に、チーム力を底上げすることができるんです」

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