2008年10月05日

非正規は細切れ/3年目が怖い

「雇い止め」スパイラル

労働経済ジャーナリスト 小林美希 編集部 伊東武彦


◆一方的な「雇い止め」通告

2007年の元日に届いた年賀状には、院長の自筆でこう書かれていた。

「頼りがいある仕事ぶりに、大いに助けられています」

都内に住む清野三恵子さん(39)が昨年5月末まで勤めていたのは立教女学院短大。もともとは派遣職員だったが、2年11カ月で嘱託職員になり、合計で6年近く働いていた。

年賀状を受け取ってから1カ月半後の2月中旬、事務局長から呼び出された。

「5月末で契約終了とし、清野さんのポジションには正職員を入れることにしました」

数日後には、上司の総務課長から改めて言われた。

「嘱託はどんなに優秀でも、3年で辞めてもらいます」

そんなこと聞いてない----。

一方的な「雇い止め」の宣告だった。

◆「雇い直し」で逃れる

正社員なら不当解雇にあたるこうした行為が、非正規社員が3人に1人という今、当たり前のように起きている。

労働者派遣法では、派遣社員として3年間働いた者には、派遣先の企業は直接雇用の申し入れをしなければならない、と決められている。しかし直接雇用者を増やしたくない企業側は、2年11カ月で契約を打ち切るか、別の部署での「雇い直し」で逃れられる。

さらに正規雇用を望む人を陥れるのは、直接雇用の名目で契約、嘱託に切り替える清野さんのようなケースだ。契約社員も更新は最長3年までで、使い捨てのリスクは派遣と変わらない。

◆製造業の09年問題

正社員の職がなく、やむなくなった派遣社員からの脱出が、難しくなっている。仮に直接雇用になったとしても、時給制など企業側の対応も多様化しており、更新の度に収入が減るケースも増えてきた。今年3月にはキヤノンの請負労働者が直接雇用を求めたが、最長で2年11カ月契約の期間社員になった。

来年には、07年の派遣期間延長を見越して06年に多くのメーカーが雇った大量の派遣社員が、3年目を迎える。製造業で囁かれてきた「09年問題」だ。雇い止めの連鎖は、各業種に広がっている。

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