2008年10月05日

番長が言えなかったこと

天才打者 清原引退

編集部 澤田晃宏


◆一人で階段を上ることも難しい状態

 満員のライトスタンドに向けて舞い上がった打球に、ファン、そして何より清原和博(41)の祈るような視線が注がれた。6回裏の第3打席。ただ、6年間清原のマネージャーを務めた男の視線は打球ではなく、グラウンドに向かっていた。

芝の縫い目で転ばないか、ベースを踏み違えないか。

「一人で階段を上ることも難しい状態。象のようにパンパンに腫れ上がっていた」

◆昨年7月の「引退宣言」

試合前、マネージャーは清原の足の状態をそう話していた。

事実上の引退会見となった8月の1軍復帰会見で、

「明日潰れるかもしれない」

と、清原本人が話した左ひざ。昨年7月に骨軟骨移植手術を行ったが、過去にグラウンドに復帰した前例のない手術だった。

◆3万175人の歓声

8回裏の最終打席、バットは空を切った。観客3万175人(球団発表)の歓声の中には、マリナーズのイチローをはじめ、著名人の姿もたくさんあった。

前売りチケットは1時間で完売。メモリアルグッズ販売の特設スペースには、午前6時に列ができた。10時の開店時には700人の行列ができていた。

◆「幸せな野球選手」

試合後の記者会見で、清原は最後に立ち上がり、報道陣にこう言った。

「多少無礼があったと思う。僕自身、弱い人間と自覚していた。だから、自分を守ろうと、そういう態度をとってしまった。いいことも悪いこともこれほど取り上げていただいた幸せな野球選手はいないと思います」
 

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