2008年12月07日

ネット企業の「大逆襲」

最高益更新続々、不況だから強い

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編集部 大鹿靖明


◆量販店より5万円安

東京都心の家電量販店のテレビ売り場で、あっちに一人、こちらにも一人、おもむろにポケットから携帯電話を取り出す中年サラリーマンがいた。液晶テレビやDVD機器の前で、携帯電話をしきりに操作している。

「いや、少しでも安いのを探そうと思いましてね。安いに越したことはないでしょう」

と、そのうちの一人は言った。

大型液晶テレビの売れ筋商品の場合、この家電量販店で購入時に付与される割引ポイントを加味しても、ネット通販のほうが4万~5万円も安い。それだけに、

「価格比較サイトさんには、かないませんね」

と店員は苦笑いしていた。

◆ガソリン高が追い風

楽天が7月に利用者約1万5000人を対象に調べたところ、「家から外へ出たくない」「1円でも10円でも安いものを買いたい」という消費者心理がきわめて強いことがわかった。マイカー依存度の高い地方ほどそうした傾向が顕著で、ガソリン高のため車に乗って買い出しに行くのを億劫がる消費者が、ネット通販に頼る姿が浮かび上がった。

百貨店やスーパー、家電量販店の販売実績が前年割れの消費不況にあって、ネット販売は活況を呈している。

◆広告でもひとり勝ち

リアルな店頭での販売が減速する一方、バーチャルな空間の集客力は増える一方だ。だから広告媒体としての魅力も高まっている。いちよし経済研究所が広告会社6社の媒体別広告売上高を四半期ごとに調べたところ、この7~9月期は新聞と雑誌が前年同期比で15%強も落ち込み、テレビとラジオも6%台の下落幅だったのに対し、ネットは15%増という高い伸び率を示している。広告媒体としてネットだけが伸びている。

◆堀江逮捕後の「逆風」

振り返れば、06年1月にライブドアの堀江貴文社長(当時)が逮捕されて以来、ネット業界を含む新興企業は強い逆風にさらされてきた。ライブドア事件を皮切りに「額に汗する人」が尊ばれ、既得権者や老人世代が唱える「品格」がブームになった。「稼ぐが勝ち」から「品格」へ。時代の空気は変わった。ところが、経済の主流の立場を奪還したはずの鉄鋼や自動車、電機といった日本の主力製造業は、米国発の金融危機の津波をまともに受けている。額に汗するものづくり産業が苦境に陥るなか、「虚業」と白眼視されてきたネットの若者たちが相次いで過去最高益を更新し、着実に地歩を固めている----。

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