2009年01月25日

大学の実力:就職、起業、結婚...で恩恵

慶應「三田会」のウィンウィン人脈

ライター 野口美恵、編集部 甲斐さやか

◆設立はSFC出身者が中心

東京・四番町のビルの一室。

「ドーナツ買ってきたよ」

社員20人とアルバイト15人が働く「三三株式会社」のオフィスで、取締役の角川素久さん(32)がお菓子を配って歩く。創立1年半あまりの若い企業らしい活気にあふれている。

同社は、角川さんら慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)の出身者が中心になって設立された。人脈は新しいビジネスを開拓するための大きな財産になる、という同社の基本理念は、設立経緯にもよく表れている。

角川さんは1999年、環境情報学部を卒業した。

「SFCは自由で、いろいろな考え方の人が意欲的に行動している。でも、自分は大企業志向でも、起業家タイプでもない。やりたいことがバラバラと感じていました」

◆きっかけは同期生から起業の相談

最初に入ったのは、急成長中のコールセンター構築・運営会社、もしもしホットライン。入社8年目に、SFC同期で三井物産に勤めていた寺田親弘さん(32)から、起業の相談を持ちかけられる。

寺田さんは学生時代からアイデアマンで起業家タイプだった。聞けば、日本オラクルに勤めていた同期の富岡圭さん(32)も参画しているという。3人は卒業直前に「就職活動体験を後輩に語る会」で知り合った仲。技術者も加わっていた。

「3人は慶應同士ですが、大学時代からの仲良しではなく起業のために集まったのが、個人的な馴れ合いにならず良かった。お互いが経験を補完しあい尊重し、自分に責任を持って独立している」

顧客獲得には慶應人脈が生きた。設立間もないベンチャー企業では、アポを取るのもひと苦労。すると事業に共感した慶大OBが、知人を紹介してくれたのだ。

「『彼も慶應です』と紹介してくれたとき、相手との距離が縮まる感じがあります。慶應の面倒見の良さを、卒業してから感じました。ビジネスの内容を理解して共感してもらわなければ、契約には至りませんけどね」

◆世界を網羅する同窓会組織

昨年、創立150周年を迎えた慶應義塾。その人脈力を象徴するのが、キャンパスの所在地にちなんで名付けられた「三田会」だ。

「学校側がつくった同窓会ではなく、卒業生が自主的に集まった勝手連」(安西祐一郎塾長)で、同期会にあたる「年度三田会」を横糸とすれば、職域別に組織される「勤務先・職種別三田会」や、中国各都市や中東、ブラジルなどにもある「地域三田会」は、先輩と後輩を結ぶ縦糸となっている。

昨年11月、約860団体ある三田会を束ねる連合三田会の大会が日吉キャンパスで開かれた。150周年記念式典の翌日とあって、2万2500人が会場を埋めつくした。

慶應の人脈力の強さは、横への広がりだけではない。世代を超えた縦のつながりが、起業家の卵を育ててもいる。

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