2009年04月12日

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低温社員に火をつけろ

「ゆとり新人」は叱らず生活指導

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編集部 常井健一


◆大阪弁の元体育教師

3月下旬、中外製薬工業の若手が宇都宮工場の会議室に集められた。新入社員36人に8カ月間、指南役として張り付く精鋭たち。

定時になると、角刈りにパリッとしたスーツ姿の男性が前に立った。元体育教師だという。自己紹介を終えるなり、

「はいっ、拍手ぅ」

勢いに押されて研修生の手が動く。マイクなし。熱い。コテコテの大阪弁で「説法」を施す。 

お次は中学校さながらの生活指導を始めた。挨拶、靴揃え、便所掃除、皿洗い。そんな些細な生活習慣が職場に潤いをもたらすらしい。

元教師の名は、原田隆史さん(48)。同じ手法で、大阪の問題校を立て直し、陸上部顧問として全国王者を次々育てた。荒れた学校の職員トイレは臭かった。問題児の部屋は散らかっていた。一方、砲丸投げ日本一になった生徒は皿洗いを毎日続けていた。

◆いじめ教室とダメ会社

原田さんは言う。

「倒産した会社の駐車場にはゴミが落ちていた。生活の乱れは、心のすさみ。職場もそうだと仕事で良い結果は生まれません」

いじめや不登校が多い学校とダメな職場は似ているという。

中外製薬工業では大量採用を境に、メンタルケアや勤労意欲の面で課題が浮上した。この5年で全社員の3割にあたる372人が入社し、メンター制度で早期育成に備えたが、退職希望者が相次いだ。総務グループマネジャーの竹内一裕さんが理由を問うと、こう口を揃えた。

「ここでは成長できない」

上司の熱意は部下に伝わっていなかった。竹内さんは言う。

「いつの間にか若手とのかかわりが希薄になっていた。人材育成を見直すなかで、メンターには指導スキルよりも人間力の底上げが必要と気づいたーー」


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