2009年04月26日

埼玉「介護難民」85万人

「高齢化最速県」団塊世代の受難シナリオ

編集部 山下 努

◆リーマンショック以降、増える女性ヘルパー

「つばさ見た?」

NHKの連続テレビ小説「つばさ」の舞台、埼玉県川越市。その郊外にある介護老人保健施設「瑞穂の里」では、ドラマで流れる見慣れた地元の光景に目を細める高齢者もいる。

ここは、医療法人瑞穂会が市内で展開する福祉施設の一つ。木下剛事務部長は、

「リーマンショック以降、介護のプロを目指す人たちの応募が増え、わざわざ面接をするほどです」

という。確かにはつらつとした女性ヘルパーが目立つ。

◆急速に高齢化する埼玉県

ただ、木下さん自身は介護の明日を楽観できない様子だ。前日も、東京で毎週開かれる「早朝勉強会」に参加し、衝撃を受けたばかりだった。勉強会は、国の福祉政策を決める閣僚、官僚、学者らがオフレコで本音を語る場だ。

そこで配られた、福祉を支える現役世代と支えられる高齢者の数の対比を示す資料が、目に焼き付いている。

20年先、日本は現役世代約1・8人で高齢者1人を支える超高齢化社会に突入する。なかでも高度経済成長とともに人口が増えた埼玉県は、支えられる側が今後急増する典型的な地域なのだ。

◆高齢化の七つの特徴

埼玉県が3月にまとめた高齢者支援計画。パンフレットの表紙では、県鳥シラコバトにちなんだマスコット「コバトン」が花咲かじじいに扮している。しかし、この「ゆるキャラ」の後に続く内容は厳しい。それは「埼玉県高齢化の七つの特徴」に集約されていた。

七つをひとことで要約すれば、埼玉固有の事情もあって未曽有の福祉需要が生まれるということだ。これまで若い県の代表だった埼玉は、一人当たりの福祉関連予算が、高齢化した地方の過疎県より少ない状況だった。


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