2009年05月24日

ネット世代の与信管理

「危ない会社の見分け方」DVDがバカ売れ

20090601_s_3.jpg
編集部 井上和典 photo 増渕洋太郎

◆人気の「与信管理解説」DVD

ドアを開けると、室内には机が数脚あるだけ。誰一人いない空間を見渡し、玩具販売会社トイ・ドリーム営業部の新入社員、梶山康介は茫然自失となった。

「だまされたかもしれない」

そのとき初めて、取り込み詐欺の被害に遭ったことを察した──。

迫真的な状況だが、この件は、企業向けに販売されているDVDドラマ「危ない会社の見分け方」(東京商工リサーチ)のワンシーンだ。

主として、企業間取引の与信管理の基礎を解説しているこのDVD。定価3万6750円と高価にも感じられるが、4月上旬に販売を始め、600件を超える注文が入っているという。

同社情報出版本部の友田信男さんはその好評ぶりをこう見ている。

「上場企業でも倒産企業が増えたこの時代とニーズが合致したのでしょう。識者を招いた講習より、安くすむことも注文につながっているようです」

◆健全な猜疑心が必要

インターネットが普及した今も、取引先の信用情報を確かめる基本は、決算書や商業登記簿を読み解くこと。さらに相手の会社を訪問し、雰囲気を肌で感じ取るのが営業マンとしての鉄則だ。ところが、机上で収集できる情報量が飛躍的に増えたことで、取引先の真贋を見抜く術に変化があらわれているという。

「ネットの利便性は確かに高い。しかし、その情報にしか頼っていない傾向が、多くの若者に見られます」

そう指摘するのは、与信管理を含めた財務コンサルティングを行う日本総研・小谷和成さん。企業に出向いての勉強会などで、与信管理能力の低下を痛感している。

クリック1回で取引先の会社概要がわかる時代。「結果」らしきものが見えたことで、それ以上の追究にまで思いが至らない。「おかしい」「怪しい」と感じることはあっても、「結果」がウェブ上にあるのでそこから踏み込まない。

小谷さんはこう続ける。

「求められているのは、いつの時代も『健全な猜疑心』です。いい意味での『疑う目』が養われていないのです」

バックナンバー

アエラ最新号

2012年2月13日号

2012年2月13日号

最新号キーワード

食の信念が揺らぐ 銀行窓販保険の魅力と危険 早慶女子「一般職がいい」 女心の複雑 「脱東電」で電気代26%節約 「驚異の儲け」グリーよ どこへ行く 絢香インタビュー 荻原博子の石巻ルポ 今年の花粉症 AKB48「恋愛で脱退」のルールと戦略 

2012年2月13日号
定価:380円(税込)
表紙:松田翔太/俳優

雑誌を購入

デジタル雑誌を購入

から検索
から検索