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ネット世代の与信管理
「危ない会社の見分け方」DVDがバカ売れ
編集部 井上和典 photo 増渕洋太郎
◆人気の「与信管理解説」DVD
ドアを開けると、室内には机が数脚あるだけ。誰一人いない空間を見渡し、玩具販売会社トイ・ドリーム営業部の新入社員、梶山康介は茫然自失となった。
「だまされたかもしれない」
そのとき初めて、取り込み詐欺の被害に遭ったことを察した──。
迫真的な状況だが、この件は、企業向けに販売されているDVDドラマ「危ない会社の見分け方」(東京商工リサーチ)のワンシーンだ。
主として、企業間取引の与信管理の基礎を解説しているこのDVD。定価3万6750円と高価にも感じられるが、4月上旬に販売を始め、600件を超える注文が入っているという。
同社情報出版本部の友田信男さんはその好評ぶりをこう見ている。
「上場企業でも倒産企業が増えたこの時代とニーズが合致したのでしょう。識者を招いた講習より、安くすむことも注文につながっているようです」
◆健全な猜疑心が必要
インターネットが普及した今も、取引先の信用情報を確かめる基本は、決算書や商業登記簿を読み解くこと。さらに相手の会社を訪問し、雰囲気を肌で感じ取るのが営業マンとしての鉄則だ。ところが、机上で収集できる情報量が飛躍的に増えたことで、取引先の真贋を見抜く術に変化があらわれているという。
「ネットの利便性は確かに高い。しかし、その情報にしか頼っていない傾向が、多くの若者に見られます」
そう指摘するのは、与信管理を含めた財務コンサルティングを行う日本総研・小谷和成さん。企業に出向いての勉強会などで、与信管理能力の低下を痛感している。
クリック1回で取引先の会社概要がわかる時代。「結果」らしきものが見えたことで、それ以上の追究にまで思いが至らない。「おかしい」「怪しい」と感じることはあっても、「結果」がウェブ上にあるのでそこから踏み込まない。
小谷さんはこう続ける。
「求められているのは、いつの時代も『健全な猜疑心』です。いい意味での『疑う目』が養われていないのです」

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