2009年06月07日

反常識経営で不況に勝つ

なぜルミネは店とJVを組むか

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編集部 山下 努 写真 鈴木愛子


◆社長が店長を労うルミネ

ギャルの聖地「109神話」を作った森本容子さんは5月中旬、ルミネの花崎淑夫社長から食事に誘われた。場所は新宿のルミネに入るイタリアン。

森本さんは109に入っていたショップの元カリスマ店員だが、それだけで声がかかったわけではない。森本さん経営のブランド「カリアング」が3月、新宿ルミネに出店したからだ。

席にはレストランの菊池佳澄店長も呼ばれた。

「普通は部課長としか会えないのに、社長と会えるなんて」

だが、ルミネで社長が店長クラスを労うのは珍しくない。

百貨店などから出店要請が絶えない森本さんも、ルミネだけは逆に社長に直談判した。

森本さんは、出店する一部の百貨店からの「マネキンは首なしで」「店員の茶髪はだめ。うちはこの色まで」といった規制に辟易してきた。結果、どの百貨店も画一化された店が並び、シーズン当初から安売り競争に走る要因になっている。ルミネに出店すると、ストレスだらけの環境が一変した。

だが、花崎社長は断言する。

「顧客との関係を店にお任せする割り切りは全くなく、そこには積極的にかかわっていく。商品力だけに頼る店はお断りしています」

◆「逆境」から生まれた強み

店舗は決して新しくない。JR東日本の首都圏11の主要駅直結という立地のため、改装はままならず、建物の構造は複雑だ。ハードでの付加価値には限界がある。花崎社長が目をつけたのが「人」だった。店頭のスタッフこそ付加価値を生む源泉、と切り替えた。

ルミネへの出店は、いわばルミネと売り場でJV(ジョイント・ベンチャー)を組むと思えばいい。契約書にこそないが、接客教育から商品納入までビル側が「経営指導」するビジネスモデルは他にない。店長交代もルミネの事前了承が必要。ビル賃貸業のルミネが、直接雇用関係のない店員に目をつけた新しい形の人材開発業ともいえる。

日々の売上高、従業員の顔つきまで、テナントの本社よりルミネのフロア担当者の方がずっと把握している。プライドやブランドが邪魔する一流百貨店にはできないこと、という。

店長に代わって、商品の納入、スタッフの増員などテナント本社に要求を出すことも日常茶飯事だ。数年前までは「そこまで口出しするか」と陰口も聞こえてきた。だが、この仕組みこそが、百貨店や路面店と差別化できる「JV」の強みだ。店の標準化が徹底しているユニクロでさえルミネ内の店では一味違う接客が楽しめる。

普通、出店希望は入り口近くの一等地に殺到する。だが、

「どの場所でも努力してそのフロアで一等地にしてみせます」

この口説き文句に有名ブランドもルミネを選ぶ----。

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