2009年06月21日

超少数派が会社を変革する(東京電力)

未来を考えながら働く

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編集部 木村恵子 写真 小野庄一


◆矛盾を抱えたまま仕事はできない

1カ月間悩んだ。会社が公募する人事異動に応募すべきかどうか。石橋すおみさん(38)は当時入社6年目の28歳だった。期日直前に決心して、今の夫である同期入社の彼に告げた。

「チャレンジしてみたい」

彼も応援してくれた。徹夜で応募のための小論文を書き上げた。面接を突破し、新潟県にある柏崎刈羽原発の広報部に配属されることが決まった。

悩みに悩んだのは、社内公募の3カ月後に結婚式が迫っていたから。一度も一緒に暮らすことなく、新潟に単身赴任となる。それでも決断をしたのは、矛盾を抱えたまま仕事はできないと思ったからだ。

それまでは東京・大田支社の地域サービス担当。料理教室を開き、集まった主婦たちにエネルギーについて話す。原子力はコストが安く省エネ効果があり、安定的に供給できると、マニュアル通りに説明した。

だが、引っかかっていた。入社翌年にあった、高速増殖炉もんじゅのナトリウム漏れ事故。東京電力の事故ではなかったが、石橋さん自身、報道を聞いて、原子力に疑問を感じていた。自分できちんと理解しなければ、これ以上説明できないと思った。そこに公募があったのだった。

◆緊急対策室に参加

柏崎刈羽原発への赴任後は、広報誌を作ったり、地元のコミュニティーFMで情報発信したりした。地元住民の原発に対する知識は、東京の主婦とは比べものにならない。水漏れでどういう危険が起きるのか、同じ水漏れでも場所によってどう危険度が違うのか、原発内ではどんな対策が採られているのか......、技術者に食らいついて勉強し、わかりやすく説明した。

「私がわからなければ、住民にもわかってもらえない。技術の専門家と住民の橋渡しをしたいと必死でした」

トラブルが発生すると、各部門の責任者が参加する緊急時対策室が立ち上がり、国や地元自治体など行政機関への報告と、マスコミ対応が真っ先に議論された。地元住民への説明は後回しになっていると感じた。

赴任から半年たったころ、原子炉を停止させるほどのトラブルが発生した。石橋さんは対策室への参加を志願。それまでは若手広報担当者が参加することはなかった。

東電社員のうち女性は12%。圧倒的少数派だ。特に、肉体労働が多い発電所の運転や送電線の保守など技術系に限れば、女性は2%にも満たない----。

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